第256回相続コラム 遺産相続手続きの期限はいつまでなのか?徹底解説

相続コラム

相続コラム

相続コラム

相続コラム

第256回相続コラム 遺産相続手続きの期限はいつまでなのか?徹底解説

第256回相続コラム 遺産相続手続きの期限はいつまでなのか?徹底解説

遺産相続手続には、いつまでという期限が設けられているものが多数あります。期限を過ぎてしまうと、その手続きを行うことができなくなってしまったり、罰則等のペナルティーが課せられてしまうものも少なくありません。今回のコラムでは、遺産相続手続きにはどのような手続きがあるのか、そしてその期限はいつまでなのか、まとめて解説したいと思います。

 

死亡届 【7日以内】

死亡届とは、人が死亡したことを役所に届け出るための提出書類のことをいいます。亡くなった方のご家族などの届出義務者は、ご家族が亡くなった事実を知った時から7日以内に役所に死亡届を提出しなければなりません。

死亡届の提出を怠ると、罰則の適用があるだけでなく、「火葬許可証」の発行や年金・保険関連の手続き等にも前提として必要となるため、全員が必須となる手続きです。

死亡届について詳しくは
第190回相続コラム 相続手続きのスタート 死亡届について徹底解説」をご覧ください。

 

火葬許可証 【火葬前】

現在の日本では、人が亡くなると、火葬するのが一般的であり、火葬する際には、「火葬許可証」というものが必要となります。当然といえば当然ですが、許可なくご遺体を火葬したり埋葬することは、墓地埋葬法違反として罰則の適用があるだけでなく、死体損壊罪などの罪に問われることがあります。ですので、火葬許可証を発行してらもらうための申請については、期限は特に定められておりませんが、事実上、葬儀(火葬)の前に取得する必要があります。

火葬許可証について詳しくは
第191回相続コラム 相続手続きのスタート 火葬許可証(埋葬許可証)について徹底解説」をご覧ください。

 

健康保険資格喪失手続 【5日または14日以内】

日本では、『国民皆保険制度』というものを採用しており、病気や怪我、入院などの万が一に備えて、すべての国民は医療保険に加入するよう義務付けられています。

国民健康保険に加入していた方が亡くなった場合には、死亡した日から14日以内に『国民健康保険資格喪失届(国民健康保険異動届出書)』を亡くなった方の住んでいた市区町村役場に提出する必要があります。

後期高齢者医療制度に加入している方が亡くなった場合には、死亡した日から14日以内に「後期高齢者医療障害認定申請書及資格取得(変更・喪失)届書」の提出が必要となります。

健康保険に加入されている方が亡くなった場合には、『健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届』を年金事務所に提出する必要があります。資格喪失に関する手続きは、資格者が亡くなった日から5日以内に届出をする必要があります。ただし、実際の届出は、勤務先だった会社がやってくれることが多いので、速やかに勤め先に連絡をする必要があります。

健康保険の資格喪失手続きについて詳しくは
第193回相続コラム いざという時のために知っておきたい健康保険の資格喪失手続きについて」をご覧ください。

 

年金受給停止手続 【10日または14日以内】

年金の支給を受けている方が亡くなると、死亡により受給資格を喪失するため、年金受給停止の手続きが必要となります。年金受給停止の手続きを怠ると、故人に年金が振り込まれ続けることになり、不正受給とみなされ、罰せられるおそれがあります。

受給権者死亡届の提出先は、年金事務所または年金相談センターとなります。提出期限は、亡くなった方が国民年金受給者であった場合は14日以内厚生年金受給者であった場合は死亡後10日以内となります。

年金受給停止手続きについて詳しくは
第195回相続コラム 受給者が亡くなった際の年金受給停止手続き 必要書類・提出先・提出期限などを解説」をご覧ください。

 

介護保険資格停止手続【14日以内】

介護保険とは、介護を必要とする人が少ない負担で介護サービスを受けられるように、介護を社会全体で支えることを目的とした保険制度です。介護保険加入者(被保険者)が、介護サービスが必要な状態、要支援・要介護の認定を受けると、その要介護度に応じた介護サービスを受けることができます。

65歳以上の方や40歳以上65歳未満の方で、特定疾病が原因で要支援・要介護の認定を受けた方が亡くなった場合には、介護保険資格停止手続が必要となります。

介護保険資格喪失届は、被保険者の方がなくなった後14日以内に、亡くなった方の住所地の市区町村役場の窓口に提出します。

介護保険の資格喪失手続きについて詳しくは
第194回相続コラム 死亡時の手続きは14日以内 介護保険の資格喪失手続きについて」をご覧ください。

 

世帯主変更届 【14日以内】

世帯主変更届とは、世帯主が亡くなった際に役所へ届け出る書類のことをいいます。亡くなった世帯主から、新しい世帯主へと登録変更をするために行います。

世帯主変更届は世帯主が亡くなってから14日以内に届け出る必要があります。

世帯主変更届について詳しくは
第192回相続コラム 世帯主が亡くなった場合の『世帯主変更届』について」をご覧ください。

 

相続放棄・限定承認 【3ヶ月以内】

相続の放棄は、相続が発生したことを知ってから3ヶ月以内に手続きをする必要があります。

疎遠の親族が亡くなった場合等には、被相続人の財産状況をすぐに把握するのは難しいことがあります。そのような場合には相続放棄のための期間を伸長する申請を家庭裁判所に申し立てることができますが、この伸長の申し立ても相続の開始を知ってから3ヶ月以内に行う必要があるので注意が必要です。

相続放棄と似た制度として、限定承認という制度があります。限定承認は「相続によって得たプラス財産の限度において、負債などのマイナスの財産を相続する」という制度です。この限定承認を利用する場合には、相続が発生したことを知ってから3ヶ月以内に手続きをする必要があります。

相続放棄や限定承認の手続きを期間内に行わなかった場合には、自動的に借金などのマイナスの財産も全て相続することになります。

相続放棄や限定承認について詳しくは
第15回相続コラム 単純承認、相続放棄、限定承認の3種類のパターン」をご覧ください。

 

準確定申告 【4ヶ月以内】

年の途中で、本来確定申告をすべき方が亡くなった場合には、その方自身が申告することはできなくなるので、その相続人等が本人に代わって、 亡くなった日までの所得金額に対する税額を計算して、申告と納税をしなければなりません。これを準確定申告といいます。

準確定申告が必要な場合には、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告と納税をする必要があります。

準確定申告について詳しくは、
第201回相続コラム 確定申告の必要な方が亡くなった際に相続人が行う準確定申告とは」をご覧ください。

 

相続税の申告 【10ヶ月以内】

相続税の申告・納付の期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヵ月以内となります。期限までに相続税の申告・納付ができないと、延滞税が課せられたり、税金の軽減制度が利用できなくなったりするので注意が必要です。

なお、相続税の申告は全ての人が必要なわけではなく、遺産の額が基礎控除額を超える場合に申告が必要となります。

参考:国税庁 – 相続税の申告要否判定コーナー
https://www.keisan.nta.go.jp/oshirase/sozoku/yohihantei/goriyomae/shinkoku.html

 

相続した不動産の名義変更【3年以内】

家や土地などの不動産を相続した場合に、その名義を変更(登記を申請)することを相続登記といいます。

この相続登記は、2024年4月1日から、法改正により義務化されるため、正当な理由なく名義変更(登記申請)を怠ると、罰則の適用を受けることなります。

相続登記が義務化されると以下のような期限が設けられることになります。

相続で所有権を取得した場合には、相続の開始を知って、かつ、所有権を取得したと知った日から3年以内に移転の登記を申請しなければなりません。その後、遺産分割で異なる割合で所有権を取得した際は、その分割の日から3年以内の登記申請が義務づけられます。

単独で相続した場合、法定相続分で登記する場合、遺贈で遺産を取得した場合は、「相続の開始を知って、かつ、所有権を取得したと知った日から3年以内」に登記を申請することになります。

相続開始後、遺産分割協議を行い、遺産分割協議に基づいて登記する場合も「相続の開始を知って、かつ、所有権を取得したと知った日から3年以内」に登記を申請することになります。

法定相続分で登記した後に、遺産分割協議を経て、法定相続分とは異なる割合で所有権を取得した際には、「その分割の日から3年以内」に登記申請する必要があります。

なお、相続登記の義務化で注意しなければならないのが、改正法施行前(2024年4月1日より前)に発生した相続についても、相続登記義務化の対象となるということです。

改正法施行前の相続についての相続登記の申請期間は、改正法が施行された日または自分が相続によって所有権を取得したことを知った日の、いずれか遅い方が起算日になり、そこから3年以内に相続登記の申請をする必要があります。

相続登記について詳しくは
第124回相続コラム 相続登記義務化に関する法改正(令和3年4月21日)」をご覧ください。

おわりに

今回のコラムでは、遺産相続手続きにはどのような手続きがあるのか、そしてその期限はいつまでなのか、まとめて解説しましたが、いかがだったでしょうか。期限というものは設けられていなくても、例えば、未支給年金の請求や高額医療費の請求等のように、数年で時効により権利が消滅してしまうものもありますので、相続に関する手続きはなるべく早めに行うことをおすすめします。

当事務所では、相続に関するご相談を広く受けております。相続の手続きで、わからないこと、お困り事がありましたら、当事務所までご相談ください。初回相談は無料となっておりますので、お気軽にご相談ください。

また、当事務所では、相続の手続きを丸ごと代行するサービスを行っております。ご興味のある方は下のバナーより特設サイトをご覧ください。