第266回相続コラム 相続登記を申請する際に提出する相続関係説明図とは何か、その書き方も解説

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第266回相続コラム 相続登記を申請する際に提出する相続関係説明図とは何か、その書き方も解説

第266回相続コラム 相続登記を申請する際に提出する相続関係説明図とは何か、その書き方も解説

相続登記の申請など、相続に関する手続きを進める際に、『相続関係説明図』の提出を求められることがあります。しかし、人生の中で相続というものを何度も経験するという方は少なく、聞き慣れない書類の作成に戸惑う方が多いのも事実です。今回のコラムでは、そもそも相続関係説明図とは何か、また、それはどのように作成するのかについて解説したいと思います。

 

相続関係説明図とは

相続関係説明図とは、故人(被相続人)には、どのような続柄の相続人がいるのかを、わかりやすくツリー状の説明図にまとめたものをいいます。被相続人と相続人の関係を示した『家系図』と考えるとわかりやすいのではないでしょうか。

 

相続関係説明図サンプル

相続関係説明図を作成する理由

相続登記を申請する際に、相続関係説明図は、必ず提出しなければならない書類というわけではありません。相続関係説明図を提出しなくても登記申請は受理されます。

しかし、相続関係説明図を提出しておくと、申請時に提出した戸籍謄本等の原本を後に返却してもらうことができます

相続登記等の相続手続きを進めるのに必要となる戸籍謄本等の通数は、膨大な量となることが少なくありません。手続きに必要とされる度に、その都度、戸籍謄本等を収集するのは、非常に手間がかかりますので、複数の相続手続きを進める際には、 戸籍謄本等の原本を返却してもらっておくと戸籍収集の手間を省くことができます。

なお、相続関係説明図を提出する以外でも、例えば、戸籍謄本のコピーを原本と一緒に提出することで、手続き完了後に原本を返却してもらうということができます。ただし、謄本自体の量が多い場合には、コピーの量も膨大となるため、かえって非効率になることがあります。

何度も戸籍の束を相続手続きで使うような場合には、「法定相続情報証明制度」を利用し「法定相続情報一覧図」を提出書類として用いると手続きの効率化を図れます。

法定相続情報証明制度について詳しくは
第17回相続コラム 相続手続きに便利な法定相続情報証明制度とは」をご覧ください。

 

相続関係説明図の書式・様式

相続関係説明図の書き方については、何か決まった書式や様式が法律等で定められているというわけではありませんので、わかりやすく被相続人と相続人の関係性を示すことができるのであれば、比較的自由に作成することができます。

手書きで作成しても、パソコンで作成しても、どちらでも差し支えありません。

 

相続関係説明図の書き方の例

相続関係説明図の書式や様式は自由と言いましたが、「自由に書けと言われても、どう書いたらいいかわからない」という方がほとんどだと思いますので、以下、記載例を示しつつ、一般的な書き方を解説したいと思います。

 

①について

この書面が相続関係説明図であることを示しつつ、その説明図は誰の相続関係を説明しているのか、言い換えると被相続人は誰なのかについても併せて記載します。

②について

被相続人について、本人を特定するために必要な「氏名」、「本籍」、「住所」、「出生日」、「死亡日」を記載します。

今回の記載例では、相続登記の申請を念頭においていますので、「登記上の住所」もわかりやすく記載しています。銀行等の金融機関に提出する際には「登記上の住所」は不要です。

 

③について

登場人物に関して、「氏名」、「被相続人との続柄」、「住所」、「出生日」を記載します。被相続人については亡くなっているため「死亡日」も記載します。

今回の記載例は、遺産分割協議によって、妻である経堂花子さんが不動産を相続するというケースを念頭においていますので、相続人の氏名の後ろに「(相続)」や「(遺産分割)」などの記載を入れていますが、必ず記入しなければならないというものではありません。被相続人と相続人との関係性と、遺産分割協議によって、不動産の所有権はどうなったのかということが一目でわかるように記載するとこのようになるという例として挙げています。遺産分割協議によって不動産を相続する人には「相続」、相続しない人は「遺産分割」と記載するのが一般的です。また、相続放棄した相続人がいる場合には「放棄」などと記載します。

 

④について

被相続人と相続人との関係性を、線で結び図示します。一般的に、二重線は婚姻関係を表し、二重線から繋がる線で、親子関係を示します。

 

おわりに

今回のコラムでは、そもそも相続関係説明図とは何か、また、それはどのように作成するのかについて解説しましたが、いかがだったでしょうか。相続関係説明図を作成する前提として、被相続人の戸籍を収集する必要がありますが、戸籍の収集は意外と手間と時間のかかる作業となります。相続関係が複雑な場合や手間を省きたいたい場合には、司法書士などの専門家に戸籍の収集を依頼することが可能です。また、集めた戸籍を元に、「法定相続情報証明制度」を利用し「法定相続情報一覧図」を発行可能にすると、相続手続きを効率的に行うことが可能となります。

当事務所では、相続に関するご相談を広く受けております。相続の手続きで、わからないこと、お困り事がありましたら、当事務所までご相談ください。初回相談は無料となっておりますので、お気軽にご相談ください。