第267回相続コラム 本日令和6年4月1日より相続登記義務化スタート

相続コラム

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第267回相続コラム 本日令和6年4月1日より相続登記義務化スタート

第267回相続コラム 本日令和6年4月1日より相続登記義務化スタート

本日令和6年4月1日より相続登記義務化がスタートしました。相続登記を申請するか否かは、不動産を相続した権利者の自由意思に委ねられていましたが、いわゆる『所有者不明土地問題』等を解消すべく法改正が行われ、本日令和6年4月1日から相続登記を申請することは義務となりました。当サイトのコラムでも、何度か相続登記義務化について触れてきましたが、相続登記義務化がスタートした今、あらためて相続登記義務化についてまとめて解説したいと思います。

 

そもそも相続登記とは何か

人が亡くなると、その故人(専門用語で「被相続人」と呼びます)が有していた財産は、相続人に相続されます。被相続人が自宅や土地などの不動産を所有していた場合には、それらの所有権も相続人に移転することになります。

そして、不動産は一般的に価値の高い財産なため、その権利関係を明確にするために、法務局の記録簿(法務局の記録簿のことを「登記簿」と言います)に、不動産の名義や権利関係を登録しておくことができます。相続による不動産の所有権移転を登記簿に反映させることを相続登記と呼びます。

つまり、簡単にいうと、不動産の名義を被相続人から相続人に変更する手続きが相続登記というわけです。

 

相続登記義務化の背景

今回の法改正に至った背景にはいわゆる「所有者不明土地問題」があります。誰が所有者かわからなくなってしまった土地は日本全体の土地の面積の約2割を占めるというデータもあります。所有者が不明な土地は、利用・開発しようにも、所有者が誰かわからない以上、勝手に処分することもできず、休眠した土地として全く活用できない状態になってしまいます。

そのような土地が発生しないようにするために、相続によって土地等の不動産の所有権が移転した場合には、その所有者を公の記録簿にきちんと記録して、土地等の有効活用を図れるようにするというのが今回の法改正の趣旨です。

 

相続登記義務化の内容

相続で不動産の所有権を取得した場合には、相続の開始を知って、かつ、所有権を取得したと知った日から3年以内に所有権移転の登記を申請しなければなりません。その後、遺産分割で異なる割合で所有権を取得した際は、その分割の日から3年以内の登記申請が義務付けられます。

単独で相続した場合、法定相続分で登記する場合、遺贈で不動産を取得した場合は、「相続の開始を知って、かつ、所有権を取得したと知った日から3年以内」に登記を申請しなければなりません。

相続開始後、遺産分割協議を行い、遺産分割協議に基づいて不動産を取得する場合も「相続の開始を知って、かつ、所有権を取得したと知った日から3年以内」に登記を申請しなければなりません。

法定相続分で登記した後に、遺産分割協議を経て、法定相続分とは異なる割合で所有権を取得した際には、「その分割の日から3年以内」に登記申請する必要があります。

これらの申請を怠ると罰則があり、10万円以下の過料が科せられる場合があります。

 

過去の相続も義務化の対象

相続登記の義務化について、改正法が施行されたのは本日令和6年4月1日ですが、相続登記の義務化で注意しなければならないのが、改正法施行前に発生した相続についても、相続登記義務化の対象となるということです。

つまり、「本日改正法が施行されたので、これから相続で不動産を取得した際には、名義変更を申請して下さいね。」ではなく、「本日改正法が施行されたので、本日以降発生した相続はもちろん、本日より以前に発生した相続についても、名義変更していない不動産がある場合には、申請してくださいね」ということです。

一般的に、法改正があると、「施行後の法律関係」に対して改正法が適用されるのが普通であり、施行前の法律関係について改正法が適用されることは多くはありません。

しかし、今回の相続登記義務化の改正法については、相続の発生が法律の施行前であるか後であるかを問わず、いずれの相続についても適用されます。

施行前の相続に適用できないとすると、相続登記が行われずに放置されている現状の問題を解決できず、「所有者不明土地問題」を解消できないからです。

改正法施行前の相続についての相続登記の申請期間は、改正法が施行された日または自分が相続によって所有権を取得したことを知った日の、いずれか遅い方が起算日になり、そこから3年以内に相続登記の申請をする必要があります。

多くのケースでは、改正法の施行日が起算日となり、そこから3年以内に申請する必要がでてくると思います。例えば、相続したことは知っていたが、特に取得した不動産について処分等は考えていなかったのでそのまま放置していた、というような場合です。

故人と疎遠であり、相続を知らなかった場合や、田舎の山林などで、その不動産を相続した事実を知らなかったような場合には、「相続の開始と所有権取得を知ったとき」を起算日とし、そこから3年以内に申請することになります。

 

まとめ

■相続登記は、簡単に言うと、相続した不動産の名義変更です。
■相続登記の申請は「所有者不明土地問題」を解消するために本日より義務化されました。
■一定期間内に相続登記を申請しないと罰則の適用があります。
■相続登記義務化は、改正法施行前の相続も対象となります。

 

おわりに

今回のコラムでは、相続登記義務化がスタートした今、あらためて相続登記義務化についてまとめて解説してみましたが、いかがだったでしょうか。相続に関する法律は、ここ数年で何度か改正され、大きく変化していますが、今回の相続登記義務化は、罰則の適用のある義務化であり、特に大きな変化と言えるでしょう。

相続に関する手続きには、複雑で面倒な手続きが少なくありませんし、今回の義務化の影響が気になる方は、相続登記に詳しい専門家に相談することをオススメします。

当事務所では、相続や遺言についてのご相談を広く受けております。対応にあたる司法書士は、相続登記を含めた不動産登記のエキスパートです。初回相談は無料となっておりますので、相続登記で気になることがあれば、お気軽にご相談下さい。

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