第255回相続コラム 相続税の未成年者控除とは何か、計算方法も併せて解説

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第255回相続コラム 相続税の未成年者控除とは何か、計算方法も併せて解説

第255回相続コラム 相続税の未成年者控除とは何か、計算方法も併せて解説

相続税を申告する際には、様々な控除制度を利用すると、納付すべき税金を節約することが可能です。「第244回相続コラム 相続税の配偶者控除は最低1億6,000万円」で解説した、いわゆる配偶者控除もそのひとつです。今回のコラムでは、相続税の未成年者控除とは何か、計算方法も併せて解説したいと思います。

 

相続税の未成年者控除とは

親が若くして亡くなってしまった場合や、未成年の孫を養子にしている場合などのケースでは、相続人の中に未成年者が含まれていることがあります。

未成年者であっても、相続で遺産を取得した場合には、相続税を納付する義務を負うことになるのですが、未成年者には、本来納めるべき相続税額から一定額を控除することができる制度が用意されており、これを「未成年者控除」といいます。

未成年者には、成人するまでに教育費や養育費等が必要となるため、それらの負担を考慮し、未成年者の生活をサポートするために未成年者控除という制度が設けられています。

 

相続税の未成年者控除の計算式

未成年者控除として、控除できる額は以下の計算式で求めることができます。

(18歳-相続した時の年齢)× 10万円

例えば、未成年者が10歳の場合には、(18-10)×10万円=80万円分の控除が認められることになります。なお、年数の計算に当たり、1年未満の期間があったとしても、切り捨てて計算します。未成年者の年齢が10歳と11ヶ月だとしても、そのまま10歳とするということです。

なお、未成年者控除の額が、その未成年者本人の相続税額より大きいため控除額の全額が引き切れない場合には、その引き切れない部分の金額をその未成年者の扶養義務者の相続税額から差し引くこともできます。

 

相続税の未成年者控除の適用条件

相続税の未成年者控除の適用を受けるためには、相続や遺贈で財産を取得したときに、以下の要件を全て満たす必要があります。

 

1.未成年であること

未成年者控除は、その名が示すとおり、未成年者のための控除制度なため、遺産を取得したときに未成年である必要があります。

ちなみに、未成年者とは18歳未満の人を指しますが、令和4年3月31日以前の相続・遺贈については20歳未満の人が対象となります。

 

2.法定相続人であること

未成年者控除の適用を受けるためには、相続や遺贈で財産を取得した未成年者が、被相続人の法定相続人であることが必要となります。

例えば、未成年の孫が祖父の遺言により遺産を譲り受けたとしても、孫は代襲相続が発生している場合を除き、法定相続人ではないため、未成年者控除の適用はありません。

 

3.日本国内に住所があること

未成年者控除の適用を受けるためには、相続開始時点で日本国内に住所がなければなりません。
海外在住者の場合は控除を適用できないということです。

ただし、日本国籍を有しており、かつ、その人が相続開始前10年以内に日本国内に住所を有していたことがある場合等には、海外在住の場合でも、未成年者控除の適用を受けることができます。

参考:国税庁ホームページ タックスアンサー
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4164.htm

 

おわりに

今回のコラムでは、相続税の未成年者控除とは何か、計算方法も併せて解説しましたが、いかがだったでしょうか。相続税を申告する際の控除は、自ら申請する必要があり、税務署の方から「あなたは○○の控除が適用されますよ」と案内されるわけではないので、適用可能な控除の制度はしっかりと調べておく必要があります。相続税の計算は複雑で、また、控除等を受ける際の適用条件も複雑なものも少なくないため、相続税の申告の際には、専門の税理士に相談することをオススメします。

当事務所は、長年、相続問題に携わってきており、また、相続税に強い税理士とも提携しております。相続問題に関する無料相談を実施しておりますので、相続に関することでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。相続税に強い税理士をご紹介することも可能です。