第202回相続コラム 配偶者が亡くなった際に提出できる姻族関係終了届とは

相続コラム

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第202回相続コラム 配偶者が亡くなった際に提出できる姻族関係終了届とは

第202回相続コラム 配偶者が亡くなった際に提出できる姻族関係終了届とは

婚姻により配偶者やその親族と家族関係が発生しますが、配偶者が亡くなると婚姻により発生した家族関係はどうなるのでしょうか。今回のコラムでは、配偶者と死別した場合の姻族関係や姻族関係終了届について解説したいと思います。

 

配偶者やその親族との家族関係

配偶者が亡くなると、その方との婚姻関係は当然に解消することになりますが、姻族関係は継続することになります。

姻族とは、配偶者の血族および血族の配偶者のことをいいます。法律上、三親等内の姻族は親族となります。具体的には、配偶者の父母や兄弟姉妹は親族に該当しますし、配偶者の祖父母や配偶者の父母の兄弟、配偶者の兄弟の子なども親族に該当します。

離婚による婚姻関係の解消の場合には、配偶者との婚姻関係が解消されると同時に姻族関係も解消されるため、それと混同される方も少なくないのですが、死別の場合は、特別な手続きをしなければ姻族関係は継続します。

民法第725条 次に掲げる者は、親族とする。
一 六親等内の血族
二 配偶者
三 三親等内の姻族

民法第728条 姻族関係は、離婚によって終了する。
2 夫婦の一方が死亡した場合において、生存配偶者が姻族関係を終了させる意思を表示したときも、前項と同様とする。

 

姻族関係終了届とは

配偶者が亡くなったとしても、その血族との姻族関係は継続されますが、自らの意思によってそれを解消することも可能です。姻族関係を解消させるために役所に提出するのが姻族関係終了届となります。

姻族関係があるからといって、同居義務があるわけではありませんし、互いに相続人になることもありません。法律上、姻族関係が継続していると、扶養義務を負う可能性はありますが、扶養する義務は、第一次的には、直系血族や兄弟姉妹が負うべきとされているため、姻族が扶養義務を負うことは非常に稀です。ですので、通常であれば、あえて姻族関係を終了させる必要はほとんどありません。

よくあるのが、姑や舅と不仲であるなど、なんらかの事情で「配偶者の親族と縁を切りたい」というような精神的な理由で利用されるケースです。

ちなみに、お子さんがいる場合には、ご自身が姻族と姻族関係を解消したとしても、お子さんと姻族との関係に影響はありません。配偶者の親族は、ご自身から見ると姻族ですが、お子さんから見ると姻族ではなく血族だからです。

民法第877条 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
2 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。

 

姻族関係終了届の提出方法

提出先

姻族関係終了届の提出先は届出人の本籍地、住所地等の市区町村役場の窓口となります。

届出ができる人

届出ができるのは、残された配偶者となります。なお、姻族関係終了届は、残された配偶者が単独で提出することが可能であり、配偶者の親族側の同意などは不要です。また、配偶者の親族側が姻族関係を終了させる手続きを行うことはできません。

提出期限

姻族関係終了届には提出期限がありませんし、時効になるということもありません。「姻族関係を終了させたいが葬儀後すぐに提出すると角が立つ」などの事情のある方は、例えば、一周忌の後に提出するなど、一定期間空けて提出することも可能です。

提出に必要な書類

・姻族関係終了届(窓口で入手可)
・戸籍謄本
・届出人の印鑑や本人確認書類など

 

おわりに

今回のコラムでは、姻族関係終了届について解説しましたがいかがだったでしょうか。姻族関係終了届は、期限のある手続きではなく、必ず提出すべきものでもありません。むしろ利用しないケースの方が多いのではないでしょうか。ただ、舅や姑と不仲であったり、「義理の家族との不要なトラブルに巻き込まれたくない」など、精神的な理由で利用されるケースがほとんどでしょう。義理の家族の介護を押し付けられたり、義理の家族のお墓の問題などに巻き込まれそうな時などに、姻族関係終了届を思い出して頂けたらと思います。

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