第245回相続コラム 相続の権利は何親等まで?相続人を親等で解説

相続コラム

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第245回相続コラム 相続の権利は何親等まで?相続人を親等で解説

第245回相続コラム 相続の権利は何親等まで?相続人を親等で解説

世田谷で30年以上、相続に関する相談を受けている中で、「相続の権利は何親等までですか?」というご質問をよく頂きます。相続の権利、すなわち誰が相続人となるかについては、法律上、相続人の順位というものが定められており、その順位に従って相続人が決まってきますが、その順位と親等とは必ずしも一致していないため、単純に「何親等まで相続の権利があります」とは、回答しづらいところがあります。

しかし、皆さんのよく抱く疑問に応えるべく、今回のコラムでは、相続人は誰であるのかを、あえて親等を基本として、解説したいと思います。

そもそも親等とは

親等とは親戚関係の遠近についての尺度又は単位のことです。配偶者について親等を使って数えることはありませんが、親子関係を経る毎に1親等と数えます。兄弟であれば2親等、祖父母と孫も2親等、従兄弟は4親等ということになります。

以下の図の青は血族、オレンジは姻族です。右肩の数字が親等を表しています。

 

相続人と親等

第一順位の相続人(子及びその代襲相続人)

法律上、「被相続人の子は、相続人となる。」(民法887条1項)と定められており、被相続人の子は、第一順位の相続人となります。

第一順位というのは、最優先で相続人になれるということを意味し、また、先順位の相続人がいる場合には、後順位の相続人は、一切、相続の権利はないということになります。

被相続人の子は、親等で言うと、『1親等の直系卑属』となりますので、被相続人に子がいる場合の相続では、“相続の権利は1親等まで”というのが原則となります。

ただし、被相続人の子が、相続発生時に死亡・相続欠格・廃除等により、相続人となる資格を失っており、子の子(被相続人の孫)がいる場合には、その孫が子の代わりに相続人となります。これを専門用語で代襲相続と言います。

被相続人の孫は、親等でいうと『2親等の直系卑属』になりますので、代襲相続が発生する場合には、“相続の権利は2親等まで”範囲が広がっていることになります。また、この代襲相続には、再代襲相続というものがあり、理屈上、ひ孫や玄孫も相続人となることができますので、再代襲が続く限り、親等の範囲は拡大していきます。

代襲相続について詳しくは
第231回相続コラム 相続人の順位と代襲相続との関係」をご覧ください。

再代襲相続について詳しくは
第232回相続コラム 代襲相続はどこまで続く?再代襲相続とその適用範囲」をご覧ください。

 

第二順位の相続人(直系尊属)

第一順位の相続人がいない場合には、第二順位の相続人が相続の権利を有することになります。そして、法律上、第二順位の相続人として、法律で定められているのが直系尊属となります。

直系尊属とは、自身より上の世代の直系する系統の親族のことで、親や祖父母等を指します。

直系尊属の間の順位については、「親等の異なる者の間では、その近い者を先にする」(民法889条1項第1号)と法律で定めらているので、親等の近い直系尊属が相続する権利を有します。

仮に、被相続人の両親が相続人となる場合には、その両親は『1親等の直系尊属』ですので、“相続の権利は1親等まで”ということになります。

被相続人の両親が、共に相続発生時に死亡・相続欠格・廃除等により、相続人となる資格を失っており、代わりに祖父母が存命ということになると、両親の次に親等が近い祖父母が相続人となります。その場合、祖父母は『2親等の直系尊属』ですので、“相続の権利は2親等まで”ということになります。代襲相続とは異なりますが、直系尊属が相続人というケースでも、遡れる世代の上限は法律上は存在しないため、理論上は、代を遡るにつれて、どこまでも親等の範囲は拡大していくことになります。

 

第三順位の相続人(兄弟姉妹及びその代襲相続人)

第一順位および第二順位の相続人がいない場合には、第三順位の相続人が相続の権利を有することになります。そして、法律上、第三順位の相続人として、法律で定められているのが兄弟姉妹になります。

兄弟姉妹は、親等で言うと、『2親等の傍系血族』となりますので、兄弟姉妹が相続人となる場合には、“相続の権利は2親等まで”ということになります。

ただし、被相続人の兄弟姉妹が、相続発生時に死亡・相続欠格・廃除等により、相続人となる資格を失っており、兄弟姉妹の子(甥や姪)がいる場合には、その甥や姪が兄弟姉妹の代わりに相続(代襲相続)することになります。甥や姪は、被相続人から見て、『3親等の傍系血族』になりますので、代襲相続が発生する場合には、“相続の権利は3親等まで”ということになります。なお、兄弟姉妹が相続人の場合には、再代襲は発生しないので、範囲が拡大しても3親等までということになります。

 

配偶者は常に相続人

相続人が誰となるかは、上で解説した相続人の順位によって決まってきますが、それらの順位とは無関係に、被相続人の配偶者は、常に相続人となります。

例えば、被相続人の両親は、第二順位の相続人ですので、第一順位の相続人である子がいる場合には、相続人とはなりませんが、配偶者は、他にどのような相続人がいようが、常に相続人となります。

配偶者には、親等という概念がありませんので、親等では数えることはできませんが、相続の権利があります

ちなみに、配偶者は、他にどのような相続人がいようとも、常に相続人となりますが、他の相続人が誰かによって、遺産の取り分=相続分は変わります。

配偶者の相続分について詳しくは
第234回相続コラム 配偶者の相続分について」をご覧ください。

 

おわりに

今回のコラムでは、「相続の権利は何親等までですか?」という皆さんのよく抱く疑問に応えるべく、相続人は誰であるのかを、あえて親等を基本として、解説しましたが、いかがだったでしょうか。通常は、相続人が誰であるかについては、親等を用いて解説されないため、かえってわかりにくい部分があるかもしれません。

相続人について、通常の解説を知りたいという方は、「第230回相続コラム 相続人になれる人は誰か? 相続人の順位について解説」をご覧ください。

相続の権利は誰にあるのかについては、あらゆる相続問題を考える際の基本となりますので、しっかりと押さえておきたいところです。

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