第193回相続コラム いざという時のために知っておきたい健康保険の資格喪失手続きについて

相続コラム

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第193回相続コラム いざという時のために知っておきたい健康保険の資格喪失手続きについて

第193回相続コラム いざという時のために知っておきたい健康保険の資格喪失手続きについて

日本では、いわゆる『国民皆保険制度』の下、すべての国民は、なんらかの公的医療保険(健康保険)に加入していることになります。健康保険に加入している方が亡くなった場合には、被保険者としての資格を失うため、保険証の返却や資格喪失に関する手続きを行う必要があります。今回のコラムでは、健康保険の資格喪失手続きについて詳しく解説したいと思います。

 

公的医療保険について

日本では、『国民皆保険制度』というものを採用しており、病気や怪我、入院などの万が一に備えて、すべての国民は医療保険に加入するよう義務付けられています。民間の医療保険への加入は任意ですが、公的医療保険はすべての国民が加入することを義務付けられているため、すべての国民は何らかの公的医療保険に加入していることになります。

 

公的医療保険の種類

公的医療保険には大きく3種類あります。

健康保険・共済組合

一般のサラリーマンの方は健康保険に、公務員の方は共済組合に加入します。後述する国民健康保険(通称「国保」)と対比して、「社保」と呼ばれるものです。

サラリーマンの方が加入する健康保険には、健康保険事業の運営主体である保険者の違いによって『組合健保』、『協会けんぽ』など複数あります。公務員の方が加入する共済組合も、『国家公務員共済組合』や『地方公務員共済組合』など複数あります。

健康保険も共済組合も、加入者(被保険者)だけではなく、一定の要件を満たすその家族も被扶養者として保険の適用を受けることができるのが特徴です。

 

国民健康保険

自営業、フリーランス、農業者、会社を退職した方など、健康保険や後期高齢者医療保険等の他の公的医療保険に加入していない方が加入する公的医療保険が国民健康保険となります。

国民健康保険には、前述の健康保険や共済組合とは異なり、「扶養」という概念がないので、国民健康保険は加入者一人一人が保険料を負担する必要があります。ただし、保険料の納付義務を負うのは世帯主となります。

 

後期高齢者医療制度

原則として75歳以上の方が加入するのが、後期高齢者医療制度になります。ただし、65歳以上74歳未満で一定の障がいのある方は、本人の申請により後期高齢者医療制度に加入することができます。

保険料については一定の条件のもと、老齢基礎年金などから差し引かれます。世帯主ではなく被保険者一人一人が保険料を納めるところが、国民健康保険と異なります。

 

資格喪失手続

資格喪失の手続きは加入している保険の種類によって異なります。

健康保険・共済組合に加入している方が亡くなった場合

健康保険に加入されている方が亡くなった場合には、『健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届』を年金事務所に提出する必要があります。資格喪失に関する手続きは、資格者が亡くなった日から5日以内に届出をする必要があります。

ただし、実際の届出は、勤務先の会社がやってくれることが多いので、速やかに勤め先に連絡をする必要があります。また、亡くなった方本人の保険証と、扶養されていたご家族がいる場合には、その方の保険証も勤務先に返却します。直接返却する場合には、勤め先の住所のある各都道府県の『協会けんぽ』や会社が『健保組合』に加入していた場合はその『健保組合』に返却します。健康保険証に保険者=返却先の名称や住所が記載されているので、その記載から返却先を確認することができます。

被保険者の方の資格が喪失した場合には、扶養されていたご家族の方は、会社員である別のご家族の扶養に入るか、国民健康保険へ加入するなど、保険の切替手続きも必要となるので注意が必要です。なお、国民健康保険への切替(加入)は、健康保険の資格喪失の日から14日以内に、お住まいの市区町村に「国民健康保険関係届」を提出することにより行います。

共済組合に加入されている方が亡くなった場合も、届出先が『共済組合』になる以外は、基本的には、上記と同様の手続きが必要となります。

 

国民健康保険に加入している方が亡くなった場合

国民健康保険に加入していた方が亡くなった場合には、死亡した日から14日以内に『国民健康保険資格喪失届(国民健康保険異動届出書)』を亡くなった方の住んでいた市区町村役場に提出する必要があります。

届出ができる人は、世帯主もしくは同一世帯のご家族になります。それ以外の方が届出を行う場合には、委任状等が必要となります。

なお、市区町村によっては、死亡届を提出すれば、国民健康保険資格喪失届は不要となる地域もあります。

国民健康保険は、サラリーマンの方等が加入している健康保険とは異なり、扶養という概念がないため、ご家族の方一人一人が被保険者となりますので、被扶養者の方の保険切替等は不要となります。ただし、保険料の納付は世帯主が行うことになっているため、世帯主が変更になる場合には、その手続きが必要となります。

 

後期高齢者医療制度に加入している方が亡くなった場合

後期高齢者医療制度に加入している方が亡くなった場合には、死亡した日から14日以内に「後期高齢者医療障害認定申請書及資格取得(変更・喪失)届書」の提出が必要となります。

後期高齢者医療制度は、都道府県ごとに全市区町村が加入する「後期高齢者医療広域連合」が運営をしていますが、届出関連は各市区町村にて行っていますので、提出先は、市区町村役場の担当窓口となります。

 

おわりに

今回のコラムでは、健康保険の資格喪失手続きついて解説しました。人が亡くなると、様々な公的手続きや、相続に関する手続きが必要となります。実際にご家族の方が亡くなると、葬儀や法要に追われ、また、精神的にも余裕がない状況になることがほとんどです。いざという時のために各種手続きについて知っておくことは心にゆとりを持つことにつながります。

当事務所では、相続に関するご相談を広く受けております。相続の手続きで、わからないこと、お困り事がありましたら、ご相談ください。また、事前の備えとして、相続対策についてのご相談もお受けしております。初回相談は無料となっておりますので、相続に関することなら何でも、お気軽にご相談ください。