第234回相続コラム 配偶者の相続分について

相続コラム

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第234回相続コラム 配偶者の相続分について

第234回相続コラム 配偶者の相続分について

相続分とは、遺産の取り分のことをいいますが、配偶者の相続分はどのくらいになるのか、ご存知でしょうか。配偶者の相続分は、他の相続人は誰なのかによって変わってくるため、相続人が誰であるか正確に把握することが重要となります。相続人が誰であるか把握するためには、相続人の順位について理解する必要があり、相続人の順位がよくわからないという方は、「第230回相続コラム 相続人になれる人は誰か? 相続人の順位について解説」を読んで頂いてから、今回のコラムを読んで頂けると、より理解が深まります。今回のコラムでは、配偶者の相続分について解説していきたいと思います。

 

相続分とは

法定相続分とは、法律(民法)によって定められた、相続人の相続割合のことをいいます。簡単に言うと、法律で定められた各相続人の“遺産の取り分”です。

例えば、ある人が、1/2の相続分を有するとなると、その人は、遺産の1/2を相続する権利があるということになります。

相続分という用語には、①法定相続分以外にも、②指定相続分や③具体的相続分というような使われ方もありますが、単に“相続分”と使うときには、一般的に、①の法定相続分のことを指します。このコラムでも、相続分=法定相続分として用います。

 

配偶者の相続分

配偶者は、他の相続人とは異なり相続に順位はなく、常に相続人となりますが、その相続分は、他の相続人が誰であるかによって変動します。

配偶者と子が相続人の場合

配偶者と子が相続人となる場合には、配偶者の相続分は1/2、子の相続分は1/2となります。仮に子が複数人いる場合には、子全体の相続分である1/2を、子の人数で割ることになります。

例えば、ある人が亡くなり、その相続人として、配偶者と子が2人いたとします。この場合、それぞれの相続分は、配偶者が1/2、子はそれぞれ1/4ずつということになります。

ちなみに、配偶者とは、法律婚の関係にある者を指し、日本の法律では重婚は禁止されているため、配偶者が複数人になることはありませんので、配偶者の相続分を頭数で割るということもありません。

配偶者と直系尊属が相続人の場合

配偶者と直系尊属が相続人となる場合には、配偶者の相続分は2/3、直系尊属の相続分は1/3となります。直系尊属とは、父母・祖父母など自分より前の世代で、直通する系統の親族のことをいいます。

例えば、ある人が亡くなり、その相続人として、配偶者と両親がいたとします。この場合、それぞれの相続分は、配偶者が2/3、両親はそれぞれ1/6ずつということになります。

直系尊属には代襲相続という概念がありませんが、仮に両親ともに既に亡くなっており、代わりに祖父母が存命の場合には、祖父母が直系尊属として、相続人になります。

配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合

配偶者と兄弟姉妹が相続人となる場合には、配偶者の相続分は3/4、兄弟姉妹の相続分は1/4となります。仮に兄弟姉妹が複数人いる場合には、兄弟姉妹全体の相続分である1/4を、兄弟姉妹の人数で割ることになります。

例えば、ある人が亡くなり、その相続人として、配偶者と兄弟姉妹が2人いたとします。この場合、それぞれの相続分は、配偶者が3/4、兄弟姉妹はそれぞれ1/8ずつということになります。

ちなみに、同一順位の相続人が複数いる場合には、それらの者の相続分は等しくなるのが原則ですが、「父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする」(民法第900条4号)とされています。

ですので、仮に上記の例の兄弟姉妹のうち1人がいわゆる異母兄弟であった場合、それぞれの相続分は、配偶者が3/4、父母の双方を同じくする兄弟姉妹が2/12、異母兄弟が1/12となります。

配偶者のみが相続人の場合

相続人が配偶者のみの場合には、その配偶者の相続分は100%ということになります。相続人が配偶者しかいない以上、配偶者が全ての遺産を相続することなります。

ただし、配偶者のみが相続人というのは、第一から第三順位の相続人が、代襲相続人も含めて誰も存在しないという状況ですので、「単にうちは子がいないから配偶者の私が全て相続するはず」と安易に考えるのは危険ですので注意が必要です。

子どものいない夫婦の相続に関する注意点については「第123回相続コラム DINKs(子どものいない夫婦)こそ注意したい。相続トラブルから配偶者を守るためにできること」をご覧ください。

 

おわりに

今回のコラムでは、配偶者の相続分について解説しましたが、いかがだったでしょうか。相続分自体は、誰が相続人であるかを確定すれば、あとは簡単な計算だけで自ずと判明するのですが、そもそも「相続人が誰であるか」を正確に把握することが難しかったりします。

相続人が誰であるか、または、その相続分はどうなるのか、判断に迷ったら専門家に相談することをオススメします。

当事務所では、相続・遺言・相続登記などに関する相談を広く受けております。相談は、初回無料ですので、相続についてわからないことや、お悩みのある方は、お気軽にご相談ください。