第244回相続コラム 相続税の配偶者控除は最低1億6,000万円

相続コラム

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第244回相続コラム 相続税の配偶者控除は最低1億6,000万円

第244回相続コラム 相続税の配偶者控除は最低1億6,000万円

一定額以上の遺産を相続した際には、相続税という税金を納める必要がありますが、配偶者には特別な控除が認められており、最低でも1億6,000万円までの遺産を相続しても税金はかかりません。今回のコラムでは、相続税の配偶者控除について解説したいと思います。

 

相続税の配偶者控除とは

相続税の配偶者控除とは、文字通り、配偶者に認められた特別な控除のことをいいます。法律上では「配偶者に対する相続税額の軽減」と記載されていますが、世間一般では「配偶者控除」と呼ばれています。

相続という制度には、一家の大黒柱が亡くなった際に、残された家族が困窮しないように生活を保障するという側面があるため、税法上も相続制度の趣旨を反映した特別な控除を認めているのです。

具体的には、配偶者の相続した遺産が、1億6,000万円以内もしくは法定相続分の範囲内であれば相続税は課せられないことになります。

例えば、夫が1億円の遺産を残して亡くなり、その相続人として妻と子がいたとします。仮に妻が全ての遺産を相続したとしても、配偶者控除として1億6,000万円まで控除が可能ですので、妻が支払う相続税は0円となります。

また、夫の遺産が1億円ではなく5億円であったとしても、相続人である妻と子が法定相続分通りに、2億5,000万円ずつ相続した場合には、妻が相続した遺産は1億6,000万円を超えてはいますが、法定相続分の範囲で相続しているので、この場合も、妻が支払う相続税は0円となります。

配偶者の法定相続分について詳しくは
第234回相続コラム 配偶者の相続分について」をご覧ください。

 

配偶者控除を受けるための要件

配偶者控除を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。

■戸籍上の配偶者であること
■相続税の申告期限までに遺産分割が完了していること
■相続税の申告書を税務署に提出すること

 

戸籍上の配偶者であること

配偶者控除を受けるためには、戸籍上の配偶者でなければなりません。内縁関係や事実婚のパートナーには配偶者控除は認められていません。

相続税の申告期限までに遺産分割が完了していること

相続税の申告期間内(被相続人が亡くなった日の翌日から10ヶ月以内)に、遺産分割を完了させている必要があります。遺産分割が完了していないということは、どの相続人が具体的にどのくらいの遺産を相続するのか未確定のままだからです。

 

相続税の申告書を税務署に提出すること

配偶者控除を受けるためには、相続税の申告書を税務署に提出する必要があります。よくある間違いなのですが、「控除等の結果、相続税が0だから申告しなくてよい」と考える方がいらっしゃいますが、相続税の申告手続きを行われなければ、配偶者控除は受けられないので注意が必要です。

参考:国税庁タックスアンサー
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4158.htm

 

配偶者控除は2次相続に注意

配偶者控除には1億6,000万円という多額の控除枠があるため、配偶者の相続分を最大限まで多くすることが、有効な相続税対策と思われがちです。

たしかに、その時の相続(一次相続)だけを見れば、配偶者の遺産取得割合を大きくすれば、課せられる相続税を安くすることができます。

しかし、その配偶者も亡くなった場合(二次相続時)には、残された子が多額の相続税を支払わなければならなくなる危険性がありますので、二次相続を踏まえたトータルでの相続税のシミュレーションが大切となります。

おわりに

今回のコラムでは、相続税の配偶者控除について解説しましたが、いかがだったでしょうか。今回のコラムでは、わかりやすく解説するために基礎控除や他の控除の話しは割愛しておりますが、実際の相続の場面では、他の控除等も含めた複雑な計算・シミュレーションが必要になりますので、相続税に詳しい専門家に相談することをおすすめします。

当事務所は、長年、相続問題に携わってきており、また、相続税に強い税理士とも提携しております。相続問題に関する無料相談を実施しておりますので、相続に関することでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。相続税に強い税理士をご紹介することも可能です。