第233回相続コラム 代襲相続が発生する3つの原因

前回、前々回のコラムでは、代襲相続と相続人の順位との関係や、代襲相続がどこまで続くのかについて解説しました。今回のコラムでは、代襲相続はどのような場合に発生するのか、または、しないのか、代襲相続の発生原因について解説したいと思います。
代襲相続おさらい
代襲相続(だいしゅうそうぞく)とは、本来相続人となるはずの者が、被相続人が亡くなる前に死亡していたり、相続人たる権利を喪失していた場合に、本来相続人になるはずの者の子がその者に代わって相続することをいいます。
例として、祖父の遺産を子が相続するはずだったが、祖父が亡くなる前に既にその子は亡くなっているため、その子の子である孫が祖父の遺産を相続する、というのが代襲相続になります。
また、前回のコラムで解説したように、直系卑属が代襲相続人の場合には、再代襲相続も可能であり、ひ孫や玄孫が相続人となるケースもあります。
再代襲相続について詳しくは、
「第232回相続コラム 代襲相続はどこまで続く?再代襲相続とその適用範囲」をご覧ください。
代襲相続の発生原因
代襲相続の発生原因は、大きく3つあります。
相続人が死亡している場合
代襲相続の典型ともいえるのが、被相続人が亡くなる以前に、法定相続人が死亡している場合です。
相続開始以前に亡くなっている者には、相続権がありませんので、その者の子が代わりに相続します。まさに代襲相続の典型ともいえます。
ちなみに、「以前」には「同時」も含むと考えられるため、被相続人とその相続人が同時に亡くなったと推定される『同時死亡の推定』が働くケースでも、代襲相続は発生します。
同時死亡の推定と代襲相続との関係について詳しくは
「第227回相続コラム 『同時死亡の推定』の間違えやすいポイントについて解説」をご覧ください。
相続人が廃除を受けた場合
相続人の廃除とは、相続人が被相続人に対して虐待もしくは重大な侮辱を行い、またはその他著しい非行をした場合に、家庭裁判所に請求して、相続人の相続権を奪うことをいいます。
相続人が廃除を受けると、その相続人は相続権を失いますので、代わりにその者の子が相続します。
相続人の廃除について詳しくは
「第14回相続コラム 相続権を失なわせる廃除とは?」をご覧下さい。
相続欠格に該当する場合
相続欠格とは、法律に規定される不正な事由(相続欠格事由)が認められる場合に、その相続人の相続権を失わせる制度です。例えば、遺産を取得するために被相続人を殺害したり、遺言書を偽造したりすると、それらは相続欠格事由に該当するため、そのような不正な行為を働いた者の相続権は失われます。
相続欠格に該当すると、相続人は相続権を失うため、その者の子が代わりに相続します。
相続欠格事由は5つありますが、その詳細は
「第13回相続コラム相続権を失ってしまう相続欠格とは?」をご覧ください。
相続放棄の場合には代襲相続は発生しない
相続人が相続放棄をすると、相続権を失うという結果になるのは、上記の3つの原因と同様なのですが、代襲相続は発生しないので注意が必要です。
少し専門的で難しいお話なのですが、相続放棄すると、その放棄をした者は「初めから相続人とならなかったものとみな」されます。本来相続人となるべき者に代わって相続するのが代襲相続ですから、初めから相続人ではない者に成り代わっても、相続はできないというわけです。
代襲相続の発生原因まとめ
代襲相続が発生する原因は
■相続開始以前に相続人が死亡している場合
■相続人が廃除を受けた場合
■相続欠格に該当する場合
の3つとなります。
相続放棄の場合には、代襲相続は発生しません。
おわりに
今回のコラムでは、代襲相続はどのような場合に発生するのか、または、しないのか、代襲相続の発生原因について解説しましたが、いかがだったでしょうか。相続人は誰なのかを確定する際に、代襲相続の有無を判断することは重要となるため、発生原因をしっかりと抑えておくと正確な判断が可能となります。
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