第227回相続コラム 『同時死亡の推定』の間違えやすいポイントについて解説

相続コラム

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第227回相続コラム 『同時死亡の推定』の間違えやすいポイントについて解説

第227回相続コラム 『同時死亡の推定』の間違えやすいポイントについて解説

前回のコラムでは、複数人のご家族が災害や事故に巻き込まれた場合、相続はどうなるのか、同時死亡の推定とは何かについて解説しました。今回のコラムでは、『同時死亡の推定』の間違えやすいポイントについて解説したいと思います。

 

『同時死亡の推定』おさらい

複数人が何らかの原因によって亡くなり、亡くなった方の死亡時期の先後が不明な場合には、亡くなった時期を『同時』と考えるというルールが法律で定められています。これが『同時死亡の推定』と呼ばれるルールです。

そして、相続人となるためには、被相続人が亡くなった時点で生存している必要があるため、同時に亡くなった者の間では、相続は行われません。

 

危難の原因や場所は別でも適用されます

『同時死亡の推定』の典型的なパターンとして、前回のコラムで解説したような、家族で同じ車に同乗しており、その車が事故にあったケースなどが挙げられます。

しかし、『同時死亡の推定』が適用される条件として、“同一の危難・原因”であることや、“同一の場所”であることは、特に要求されておりません。

つまり、複数の家族が、別の原因や別の場所で亡くなったとしても、その死亡の先後が不明でありさえすれば、『同時死亡の推定』が適用されます。

例えば、大きな地震が発生し、家族のうちのひとりが職場の火災で亡くなり、他の家族が、自宅で倒壊に巻き込まれて亡くなったとしても、すなわち、直接の死亡原因は別であり、亡くなった場所も別であっても、亡くなった先後関係が不明であれば『同時死亡の推定』が適用されることになります。

 

生命保険の死亡保険金の受取人

生命保険において保険契約者と受取人が同時に死亡したと推定される場合には、保険契約者の相続人ではなく、受取人の相続人が死亡保険金を受け取ることになると考えられています。

死亡保険金を受け取る権利は、相続によって発生する権利ではなく、保険契約によって発生する受取人固有の権利だからです。

つまり、相続とは無関係に、生命保険契約によって、受取人に死亡保険金を受け取る権利が発生しているが、その受取人が亡くなっているため、受取人の相続人が、その権利を相続によって取得するということです。

 

『同時死亡の推定』と代襲相続

代襲相続(だいしゅうそうぞく)とは、被相続人より先に相続人が亡くなっている場合に、被相続人から見て“孫”や“ひ孫”、“甥”や“姪”等が相続財産を受け継ぐことをいいます。

この代襲相続は、『同時死亡の推定』が適用される場合でも発生します。

民法では、代襲相続の要件として「被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき」と定められており、この「以前」には、「同時」も含んでいると解釈されるからです。

 

図のような家族構成のケースで、祖父と父が、事故により亡くなくなったが、どちらが先に亡くなったか不明という場合、祖父の相続との関係で、『同時死亡の推定』の適用により、父はいないものと考えます。ただし、父には子がいるため、その子が代襲相続人となるため、祖父の相続人は、祖母と、その子である兄弟姉妹および、父の代襲相続人である孫ということになります。

 

おわりに

今回のコラムでは、『同時死亡の推定』の間違えやすいポイントについて解説しましたが、いかがだったでしょうか。相続に関する制度や用語には、難解でわかりにくいものが多く、例えば、『同時死亡の推定』と『代襲相続』とが絡む場合のように、難解な制度・用語が複数登場すると、一気に、理解のハードルが上がってきます。ご自身の相続の問題で、難解な制度等が複雑に絡み、どうしたらいいのか悩んだ場合には、専門家に相談することをオススメします。

当事務所では、相続・遺言・相続登記などに関する相談を広く受けております。相談は、初回無料ですので、相続についてわからないことや、お悩みのある方は、お気軽にご相談ください。