第235回相続コラム 法定相続人にあたる人、あたらない人まとめ
「第230回相続コラム 相続人になれる人は誰か? 相続人の順位について解説」では、相続人の順位について解説し、誰が法定相続人となるのか、その基本を解説しました。今回のコラムでは、「この人は法定相続人にあたるのか、または、あたらないのか」判断に迷いそうなケースについて、まとめて解説したいと思います。
法定相続人の基本おさらい
相続が発生した際に、遺言があれば、その遺言に従って遺産を分配することで足りるのですが、遺言がない場合や、遺言に記載のない遺産については、誰がどのように遺産を相続するのかについて、明確なルールを定めておく必要があります。
遺言がない場合に、誰が相続人となるかについては法律で定めがあり、その法律上定められた相続人のことを、法定相続人(ほうていそうぞくにん)と呼びます。
法定相続人には順位が定められており、その最上位者が法定相続人となります。配偶者については、順位の定めがなく、常に相続人となるのがポイントとなります。
法定相続人の順位
第1順位の相続人:子及びその代襲相続人
第2順位の相続人:両親などの直系尊属
第3順位の相続人:兄弟姉妹及びその代襲相続人
※最上位者が法定相続人となる
※配偶者がいる場合には、常に法定相続人となる
詳しい解説は、
「第230回相続コラム 相続人になれる人は誰か? 相続人の順位について解説」をご覧ください。
法定相続人にあたるorあたらない
離婚した元配偶者
被相続人が亡くなった時点=相続開始時の配偶者が、法定相続人となります。相続開始時点において、離婚によって婚姻関係が解消されていると、その人は「配偶者」ではないため、法定相続人にはなれません。
離婚した元配偶者は法定相続人にはあたりません。
内縁関係のパートナー
法定相続人となる「配偶者」は、法律婚による配偶者を指すため、いわゆる事実婚、内縁関係のパートナーには相続権が認められていないのが現状です。内縁関係のパートナーに遺産をのこすには、遺言が必須とも言えます。
内縁関係のパートナーは法定相続人にはあたりません。
養子
養子も実子と同じように、第一順位の法定相続人となりますし、実子も養子も相続分に違いはありません。(ただし、税法上、取り扱いが異なる場合があります。)
養子は法定相続人にあたります。
養子に出した子
養子には、『普通養子縁組』と『特別養子縁組』の2つの種類があり、そのどちらの養子縁組かによって結論が変わってきます。
『普通養子縁組』の場合には、実親との親子関係を維持したまま、養親との間に親子関係を発生させるため、養子に出した子も、実親の法定相続人となります。つまり、養子は実親及び養親の法定相続人となります。
それに対して『特別養子縁組』の場合には、養子縁組が成立した時点で、実親との間の親子関係は解消されるため、養子に出した子は、実親の法定相続人とはなりません。
普通養子縁組に出した子は法定相続人にあたります。
特別養子縁組に出した子は法定相続人にあたりません。
元配偶者との間の子
離婚した元配偶者は、上で解説したように法定相続人にはなれません。離婚によって婚姻関係が解消され、「配偶者」ではなくなるからです。しかし、離婚によって婚姻関係が解消されたとしても、子との間の親子関係が消えるわけではないので、元配偶者との間の子は法定相続人となります。
元配偶者との間の子は法定相続人にあたります。
再婚相手の連れ子
再婚相手の連れ子は、法律上、一親等の直系姻族という扱いとなり、そのままでは相続権はありません。つまり法定相続人にはあたりません。ただし、連れ子と養子縁組している場合には、その子は養子としての地位を獲得しているため、法定相続人となります。
再婚相手の連れ子はそのままでは法定相続人にはあたりません。
ただし、養子縁組が成立している場合には、法定相続人にあたります。
おわりに
今回のコラムでは「法定相続人にあたるのか、または、あたらないのか」判断に迷いそうなケースについて、まとめて解説しましたが、いかがだったでしょうか。家族観が多様化している現在、家族のあり方も人それぞれであり、相続関係も多様化しているため、誰が法定相続人となるのかについては、その家族毎にしっかりと判断する必要があります。
相続の問題でわからないこと、判断に迷うこと、お困り事がある場合には、相続に詳しい専門家に相談することをおすすめします。
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