第74回相続コラム 失敗したくない遺言書での認知

相続コラム

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第74回相続コラム 失敗したくない遺言書での認知

第74回相続コラム 失敗したくない遺言書での認知

今回のコラムでは、遺言書での認知について、具体的事例をもとに解説したいと思います。また、遺言で認知する際の注意点として、遺言執行者の活用についても解説します。

事例 – 遺言と認知

私には一緒に暮らしている妻子の他に、結婚していない女性との間に子供がいますが、認知をしていません。この子供を遺言で認知した上で、財産の一部を相続させたいと考えていますが可能でしょうか?また、この子供はいわゆる非嫡出子となるので、相続させる財産は嫡出子の半分にすべきでしょうか?

 

婚姻関係にない男女間に生まれた子
婚姻関係にない女性との間に生まれた子とその父親の間には、法律上の親子関係はそのままでは認められません。よって相続権も当然にはありません。後述の認知という手続きが必要になります。

 

認知の方式

認知とは、嫡出ではない子を血縁上の父が自己の子であると認めることによって、血縁上の親子を法律上の親子とすることをいいます。

認知は生前の届出だけではなく、遺言ですることもできます。認知していない子供を遺言で認知した上で、財産の一部を相続させることは可能です。

 

遺言による認知

遺言で認知をする場合、文言には注意が必要です。「認知する」ことを明記することは勿論、認知する子を特定・明記しなければいけません。まだ生まれていない胎児を認知することも可能ですが、その場合は妊娠している母親を特定・明記しなければいけません。

遺言による認知の場合、遺言執行者が就職した日から10日以内に認知の届出をしなければなりません(戸籍法第64条)。遺言執行者がいないときは家庭裁判所に遺言執行者選任の申立をする必要があるため、あらかじめ遺言で遺言執行者を指定しておくべきです。

認知をめぐっては、遺言者の相続人や家族に感情的な対立が起きる可能性もあり、この場合の遺言執行者には第三者を指定すべきでしょう。「第69回相続コラム 家族の負担が増える!?注意したい遺言執行者の指定」も参考にしてください。

 

嫡出子と非嫡出子で法定相続分に違いは?

かつての民法では、嫡出子と非嫡出子で法定相続分に違いがありました。しかし、平成25年9月、嫡出子と非嫡出子で法定相続分に差を設けることは法の下の平等に反して違憲であると最高裁判所が判決したことで、その後改正された現在の民法では、嫡出子と非嫡出子の法定相続分に違いはありません。本件でも、認知された子は当然に嫡出子と同様の相続権を取得することになります。

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