第69回相続コラム 家族の負担が増える!?注意したい遺言執行者の指定

相続コラム

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第69回相続コラム 家族の負担が増える!?注意したい遺言執行者の指定

第69回相続コラム 家族の負担が増える!?注意したい遺言執行者の指定

前回のコラムでは、遺言執行者が行うべき具体的な手続きについて解説しました。実際に遺言執行者が行うべき手続きは多岐に渡り、場合によっては残されたご家族に大きな負担となってしまう場合があります。今回のコラムでは家族が遺言執行者に指定された場合に、特に負担になる例をいくつか紹介したいと思います。遺言を作成し、遺言執行者を指定しようと思っている方にも参考になるかと思います。

相続人が多数の場合

兄弟が多いご家族や代襲相続などがあると、相続人の人数が多くなることがあります。遺言執行者は相続人全員の戸籍や住民票の収集をした上で、相続人全員に遺言執行者就任の通知や、財産目録の送付、完了の報告をしなければなりません。遺産を承継しない相続人にはこれらの連絡等を省略できるわけではないことに注意が必要です。

 

遺産が多数の場合

被相続人の遺産に銀行口座や上場株式等がある場合、遺言執行者は銀行の各支店や各証券会社等を全て回って、解約や名義変更等の手続をしなければなりません。同時に残高証明書等も取寄せするのが一般的です。口座の残高が多いか少ないかではなく、口座の数が多いとそれだけ事務が増えることになります。

また、被相続人の遺産に不動産が含まれる場合、遺言執行者は速やかに相続登記を完了しなければなりません。

その不動産を相続しないはずの他の相続人が法定相続分の相続登記を先行させて、法定相続分を先に処分(売却等)してしまうと取り返しのつかないことになる恐れがあるからです。

この点は、昨今の民法改正の影響で、遺言執行業務を行う弁護士や司法書士が最も神経を使うようになった部分とも言われています。遺言執行者は、相続人に就任の連絡だけをして、いつまでも相続登記にとりかからないということは絶対に避けなければなりません。これも、不動産の評価額が高いかどうかではなく、物件の数が多いとそれだけ相続登記の事務は増えることになります。

 

相続人同士の関係が良くない場合

相続で揉め事にならないために遺言書が作成されていても、相続人同士の関係がそもそも良くない場合があります。このようなケースで親族が遺言執行者に就任すると、遺言書で定められたとおりの遺言執行を行うだけであっても、それが遺言執行者の精神的な負担にもなることがあります。

 

残されたご家族の負担

このように、家族が遺言執行者に指定され、実際に義務や責任が重い遺言執行にとりかかると、負担が厳しいものになってしまう場合があります遺産の総額が多いか少ないかとは必ずしも関係ありません

当事務所では遺言作成だけでなく、遺言執行のサポートも行っております。遺言書の内容と遺言執行者に指定された方の状況に応じたサポートをご提案させていただきます。

なお、昨今の民法改正により、令和1年7月1日以降に作成された遺言書であれば、遺言執行者は「第三者にその任務を行わせることができ」るようになりました。遺言執行の職務を最初から最後までまとめてご依頼いただくことも可能です。

遺言執行についてお困りの方は、遺言執行案件を多数取り扱っている当事務所までお気軽にお問い合わせください。