第33回相続コラム 意外と知らない遺言執行者について

相続コラム

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第33回相続コラム 意外と知らない遺言執行者について

第33回相続コラム 意外と知らない遺言執行者について

遺言について詳しく知っている方でも意外と遺言執行者については知らない方も多いと思います。今回は遺言執行者について、法改正の内容と併せて、解説していきたいと思います。

遺言執行者とは

遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために必要な手続きを行う人です。遺言が執行される時には、遺言を書いた本人は亡くなっていますから、遺言の内容を自らの手で実現させることはできません。そこで、遺言を書いた本人の代わりに遺言の内容を実現させる人が必要となります。これが遺言執行者です。

遺言執行者の選任

誰を遺言執行者にするのかについては、遺言で指定できます。
遺言執行者が指定されていない場合には、相続人や受遺者(遺贈によって財産をもらい受ける人)が遺言の内容を実現させるための手続きを行うことになります。

ただし、法が必ず遺言執行者を選任しなければならないと定めている場合には、相続人や受遺者ではなく、遺言執行者を選任してその執行者に手続きを行ってもらう必要があります。子を認知する場合や相続人の廃除・その取り消しを行う場合です。これらの場合に、遺言執行者が選任されていない場合には、家庭裁判所で遺言執行者を選任してもらう手続きを行う必要があります。

遺言執行者に誰を選任するか

遺言執行者は、基本的に、誰を選任しても大丈夫ですが、未成年者や破産者を指定することはできません。親族などに頼む方もいらっしゃいますし、遺言書に専門的な内容が含まれる場合には、司法書士や弁護士などの専門家を選任するケースもあります。

遺言執行者の任務の開始

2019年7月1日施行の改正相続法では、遺言者の任務の開始に関して、新しい決まりが設けられました。

改正法では、「遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない」と規定されました。

当たり前のことのように聞こえますが、改正前の法律では、遺言執行者は、必ずしも遺言の内容を相続人に通知する必要はありませんでした。
これは、遺言を書く人の中に、特定の人に内容を知られないように手続きを進めたいという方が少なからずいたことにあります。たとえば、相続人の中にうるさい人がいたり、縁が切れて何十年も音信不通、など諸事情があるのだと思われます。

今回の改正で、遺言執行者は遺言者が遺言の内容を知らせたくなかった人にも、その内容を知らせなければならないということです。

もちろん内容を知らせたからといって、遺言の内容が変更になることはないのですが、知らせたことによって遺留分の請求などがくる場合が想定されます。

ですので、今後、遺言を作成する場合には、遺留分に十分配慮することが大事となります。また、遺言執行者に専門家を選任したり、執行者が後に頼れる専門家を探しておくことも考える必要があります。