第68回相続コラム 遺言執行者がすべきことって何?
- 2020.05.01
- 遺言

「第33回相続コラム 意外と知らない遺言執行者について」という記事で遺言執行者とは何かについて解説しましたが、突然遺言で遺言執行者に指定され、何をしたらいいのか?と戸惑う方も多いかと思います。今回は遺言執行者となった場合、具体的に何をしたらいいのかについて解説したいと思います。
遺言執行者とは
遺言を書いた本人の代わりに遺言の内容を実現させることが遺言執行者の仕事です。遺言が執行される時には、遺言を書いた本人は亡くなっていますから、遺言の内容を自らの手で実現させることはできません。そのために遺言執行者がいます。また、相続人や受遺者(遺贈によって財産をもらい受ける人)が遺言の内容を実現させるための手続きを行える場合もありますが、相続人等が複数人いる場合には、相続人の間で「だれがどの手続きを行うのか?」などでトラブルが起こることがあります。不要なトラブルを未然に防ぐという観点でも遺言執行者を予め選任しておくのは有効です。
遺言執行者が必ず必要な場合
遺言執行者が遺言などで指定されていなかったとしても、必ず遺言執行者が必要な場合があります。
子どもの「認知」と「相続人の廃除・その取り消し」を行う場合です。
これらを行う場合に、遺言執行者が選任されていない場合には、家庭裁判所で遺言執行者を選任してもらう手続きが必要になるので注意が必要です。
遺言執行者が行わなければならない手続き
1.就任通知書の作成・送付
遺言執行者に指定された場合、遺言執行者を承諾するかしないかを判断します。承諾するときめたら、就任通知書を作成し相続人に送付します。
実際には、相続人全員に送付しなければならないので、就任通知書を作成する前に、相続人全員の戸籍等を収集する必要があります。
2.遺言書の写しの送付
遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければなりません。具体的には、遺言書の写しを、前述の就任通知書と一緒に送付することになります。
3.相続財産目録の作成・送付
遺言執行者は相続財産の目録を作成し、相続人全員に送付する必要があります。ですので、相続人の調査と同時に相続財産を調査することになります。相続財産は、現金・預金、不動産や有価証券等の資産の他に、借金などの負債も含まれますので注意が必要です。
4.遺言内容の実現
遺言の内容に記載されたとおりに財産を引き渡します。財産の中に不動産が含まれている場合には、その登記も行う必要があります。
5.任務完了後に文書で報告をする
遺言に記載されていた内容をすべて実現したら、任務完了報告を行います。任務完了の報告は文書によって相続人に報告するのが一般的です。
困った場合はご相談を
このように、相続人全員の戸籍等を集めること、相続財産全てを漏れなく調査すること、金融機関等で被相続人の財産の引渡しを受けたり遺言書の指定通りに相続人に分配すること、各相続人に間違いがない内容を報告すること等々は、経験の無い方が日常の仕事や家事の片手間で進めようとすると、とても大きい負担になります。このような時に、被相続人や相続人と血縁関係等がない第三者の専門家が遺言執行をサポートすると、事務作業の負担を大きく減らすことができます。また、手続の透明性が確保されて、相続人間の無用なトラブルを防ぐことにつながる場合もあります。
当事務所でも、遺言執行者となった方へのサポートを行っております。お気軽にご相談ください。
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