相続コラム

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第36回相続コラム 権限強化により便利になった遺言執行者の利用

第36回相続コラム 権限強化により便利になった遺言執行者の利用

令和に入って、相続法が改正されたこともあり、遺言執行者についてのご相談が増えつつあります。この改正により、今後、遺言執行者の利用が増えると予想されます。
今回は法改正によってどのように遺言執行者の権限が変わったのかについて、改正前の状況と比較しながら解説していきたいと思います。
そもそも遺言執行者って何?って方は、「第33回相続コラム 意外と知らない遺言執行者について」を先に読んで頂くと、より理解が深まると思います。

遺言執行者の権限の強化

改正前の遺言執行者

改正前の相続法では、遺言執行者は「相続人の代理人」であると定められているのみで、遺言執行者は具体的にどんな立場で何ができるのかが曖昧でした。

「相続させる」旨の遺言があった場合には、対象となった財産は、相続開始(死亡)と同時に、当然に、相続させる旨の遺言の対象となった相続人に引き継がれるものと裁判所によって解釈されていました。そのため、遺言執行者がいる場合でも、相続させる旨の遺言は執行するまでもなく、遺言執行者は、この遺言に関して何の権限ももたないものとされていました。

上記のことから、対象となる財産が不動産の場合、遺言執行者が不動産の名義変更である相続登記の手続をすることはできず、取得した相続人自身が手続をする必要がありました。また、対象となる財産が預貯金の場合、金融機関によっては遺言執行者による解約や払い戻しの請求に応じないこともあり、執行者と金融機関でトラブルになるケースもありました。

遺言の内容に不満を持ち執行を止めてほしいと考える相続人がいると、遺言執行者とその相続人が対立して、遺言内容の実現が困難になるようなケースも少なくありませんでした。

このように改正前の相続法では、本来、亡き故人に代わって、最終意思である遺言を執行していく立場の遺言執行者を選任することによって、かえって手続きが煩雑になったりトラブルになることもありました。

改正後の遺言執行者

改正後の相続法では、「遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。」とされ、遺言執行者の権限や立場が明確になりました。「遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。」ことも明文化されました。

特定の財産を相続させる旨の遺言があった場合でも、不動産における登記、自動車における登録などの必要な手続を行う権限が遺言執行者に与えられました。また、預貯金の払い戻し請求や解約申し入れの権限があることも明文化されました。これらによって無用な問答、紛争を防ぐことができるようになり、よりスムーズな遺言執行が可能になることが期待されています。

遺言の内容をより確実に、よりスムーズに実現するために、今後は遺言執行者の利用が増えていくことと思われます。