第90回相続コラム 遺言書を偽造するとどうなる?

相続コラム

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第90回相続コラム 遺言書を偽造するとどうなる?

第90回相続コラム 遺言書を偽造するとどうなる?

遺言書の偽造についての報道

9月25日のNHKのニュースで「相談者からの依頼で、亡くなった親族の遺言書を偽造するなどした罪に問われている兵庫県弁護士会の弁護士の裁判が神戸地方裁判所で始ま」ったと報じられました。この弁護士は起訴された内容を認めているとのことです。

検察は、この弁護士が「『よほどのことがない限り筆跡鑑定は行われない。偽造とは分からない』などと話し、相談者は弁護士が作った案に従って遺言書を偽造した」と指摘しているそうですが、目を疑うようなニュースです。

 

遺言書が偽造された場合どうなるのか

遺言書を遺言者でない者が偽造した場合、まず①偽造された遺言書は無効です。遺言者の自筆という要件を満たさないからです。また②遺言書を偽造した相続人は、相続欠格(民法891条5号)に該当し、相続人の資格を失います。そして③偽造により他の相続人や受遺者に損害を与えた場合は、偽造した者は不法行為に基づく損害賠償責任を負うこととなります。

さらに、この弁護士のように、刑事上の責任として有印私文書偽造罪(刑法159条1項)に問われます。有印私文書偽造罪の法定刑は3月以上5年以下の懲役刑です。他の家族が見れば自筆証書遺言の偽造は一目で分かるはずです。遺言書の偽造は絶対にすべきではありません。

偽造された遺言は無効
偽造した相続人は、相続人の資格を失う
偽造によって損害を与えた場合は、損害賠償責任を負う
有印私文書偽造罪に問われる

他の相続人等による遺言書の偽造が疑われるケースでは、筆跡鑑定の利用や遺言者の当時のカルテ等の取り寄せなどをした上で、最終的には調停手続や訴訟手続で解決を図ることとなります。

 

遺言書の偽造リスクをどうするか

遺言書の偽造や変造、破棄の可能性をふまえると、遺言者は公正証書遺言を作成することが望まれます。公正証書遺言であれば、これらのリスクはほとんど気にする必要がないからです。

当事務所でも遺言書について幅広く相談をお受けしております。お気軽にお問い合わせください。