相続コラム

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第39回相続コラム 本当は怖い!?相続のお話(再転相続と借金)

第39回相続コラム 本当は怖い!?相続のお話(再転相続と借金)

相続といえば、遺産を貰い受ける以外にも、故人の借金を相続する場合があります。実際にあった事例をもとにちょっと怖い相続のお話をします。
※下記の事例は事実を簡略化して内容を一部改変しております。

相談内容

相談者Aさん

3年前に亡くなった私の叔父の借金について、突然私のもとに金融機関から支払いを求める書類が届きました。叔父には妻子がいますが、その妻子が相続放棄をした結果、叔父の妹である私の母が相続人になり、私の母も2年前に亡くなっていたため、母の相続人である私に叔父の借金の支払義務があるというのです。

叔父に借金があったことや妻子が相続放棄したことなど私は全く知りませんでした。私の母も同様に、自身が叔父の相続人になったことなどは全く知らなかったはずです。相続放棄の期限は3ヶ月と聞きましたが、私は叔父からの相続について相続放棄することはできないのでしょうか?

前提となる法律のお話

法律上、相続の際に、借金などを背負いたくない場合には、相続の放棄というものがあります。相続放棄について詳しくは「第15回相続コラム 単純承認、相続放棄、限定承認の3種類のパターン」をご覧下さい。

民法上、相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない、と定められています。この期間を熟慮期間といいます。つまり、相続を放棄する場合は、熟慮期間内に放棄の手続きをする必要があります。そして、相続人が相続の承認又は放棄をしないまま死亡したときは、承認又は放棄すべき期間は、その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から起算する、とされています。

冒頭の事例では、叔父が亡くなってから既に3年が経過しており、母親が亡くなってからも既に2年が経過しています。このような事例では相続放棄は許されないのでしょうか?

 

最高裁での判断

今年8月9日、最高裁判所はこのような事例について、以下のように判示しました。

「民法916条にいう『その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時』とは,相続の承認又は放棄をしないで死亡した者の相続人が,当該死亡した者からの相続により,当該死亡した者が承認又は放棄をしなかった相続における相続人としての地位を,自己が承継した事実を知った時をいうものと解すべきである。」

冒頭の事例にあてはめると、「Aさん」が、「母」からの相続により、「母」が承認又は放棄をしなかった「叔父」からの相続における相続人としての地位を「Aさん」が承継した事実を知った時、つまり金融機関からの書類を受け取った時、から3ヶ月の熟慮期間は起算すると解するべき、ということになります。

Aさんは、金融機関からの書類を受け取った時から3ヶ月に相続の放棄を行えば、借金は支払わなくてよいことになります。

今回のAさんのように、相続した地位(母が叔父の相続人であるという地位)をさらに相続した場合などでは、もともとの叔父の借金についてや、その相続状況については情報が乏しい場合が多く、突然の請求などで問題になるケースが多く見られました。前述の最高裁の判断は、Aさんのような方が困らないよう配慮した判決といえます。