第259回相続コラム 故人の兄弟や姉妹に相続権はあるのか?基本からわかりやすく解説

相続コラム

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第259回相続コラム 故人の兄弟や姉妹に相続権はあるのか?基本からわかりやすく解説

第259回相続コラム 故人の兄弟や姉妹に相続権はあるのか?基本からわかりやすく解説

世田谷区で30年以上、相続に関する相談を受けておりますが、「故人の兄弟にも相続権はありますか?」、「故人の姉妹も相続人になれますか?」という質問をされることが少なくありません。今回のコラムでは、故人の兄弟や姉妹にも相続権はあるのか、相続人になれるのかについて、相続の基本からわかりやすく解説したいと思います。

 

兄弟姉妹が相続人になれないケース

故人に子がいるケース

誰に相続権があるのか、言い換えると、誰が相続人となるかについて、法律上、故人との続柄に従って相続人の順位が定められており、最も順位の高い相続人が相続権を有することになります。

故人の兄弟や姉妹は、法律上、第三順位の相続人と定められているため、第一順位の相続人や第二順位の相続人がいる場合には、相続権はありません。

故人に子がいる場合、故人の子は、最も高順位の第一順位の相続人として、法律上、定められているため、第三順位の相続人である兄弟姉妹には相続権は認められないことになります。

 

相続権は、最も順位の高い相続人が有します
兄弟姉妹は第三順位の相続人です
第一順位の相続人である子がいる場合には、兄弟姉妹には相続権はありません

 

故人に孫やひ孫がいるケース

故人に、子がいない(相続発生時に既に他界している等)場合でも、故人に孫やひ孫がいる場合には、故人の兄弟姉妹に相続権は認められません。

少し専門的なお話しになりますが、相続には、『代襲相続』と呼ばれる制度があります。

代襲相続とは、本来相続人となるはずの者が、被相続人が亡くなる前に死亡していたり、相続人たる権利を喪失していた場合に、本来相続人になるはずの者の子がその者に代わって相続するという制度です。

例えば、Aさんが亡くなりましたが、Aさんの息子であるBさんも、Aさんが亡くなる数年前に既に亡くなっていたとします。仮にBさんにCさんという子がいた場合に、CさんがBさんに代わってAさんの遺産を相続するというのが代襲相続です。

上記のCさんは、Aさんから見ると孫にあたりますが、この孫であるCさんは、Bさんに代わって相続権を取得しているため、Bさんと同様に第一順位の相続人という扱いになります。

つまり、子の子(故人から見ると孫)や子の孫(故人から見るとひ孫)は、代襲相続という制度によって、子と同じ第一順位相続人となるため、それらの者がいる場合には、それより下位の順位の相続人には、相続権は認められないのです。

代襲相続について詳しくは
第231回相続コラム 相続人の順位と代襲相続との関係」をご覧ください。

 

故人に両親や祖父母などの直系尊属がいるケース

故人の両親や祖父母などの直系尊属は、法律上、第二順位の相続人と定められております。第二順位の相続人である直系尊属がいる場合には、第三順位の相続人である兄弟姉妹には相続権は認められないことになります。

直系尊属とは、耳慣れない言葉かもしれませんが、父母・祖父母など自分より前の世代で、直通する系統の親族のことをいいます。養父母も直系尊属に含まれます。おじ・おばは尊属ではありますが、直系ではなく傍系なので含まれません。また、配偶者の父母・祖父母等は、姻族関係に基く親族関係であり、直系ではないので含まれません。

兄弟姉妹が相続人になれるケース

兄弟姉妹が相続人になれるケースは、第一順位の相続人及びその代襲相続人がいない場合で、かつ、第二順位の相続人である両親や祖父母などの直系尊属もいない場合ということになります。

兄弟姉妹は第三順位の相続人ですので、第一順位や第二順位の相続人、自身より高順位の相続人が存在する場合には、相続権は認められないということです。

 

法定相続人とその順位
第一順位の相続人:子などの直系卑属およびその代襲相続人
第二順位の相続人:両親や祖父母などの直系尊属
第三順位の相続人:兄弟姉妹およびその代襲相続人

 

なお、同一順位の相続人が複数人いたとしても、相続権には影響ありません。ただし、相続分(遺産の取り分)が、頭数で割られることになるため、取り分には影響します。

また、故人に配偶者がいたとしても、配偶者は相続人の順位とは無関係に、常に相続人となるため、相続人の順位関係には影響しません。ただし、配偶者が存在する場合には、遺産の分配時に、配偶者の取り分が引かれることになるため、兄弟姉妹が相続する遺産の取り分には影響することになります。

 

おわりに

今回のコラムでは、故人の兄弟や姉妹にも相続権はあるのか、相続人になれるのかについて解説しましたが、いかがだったでしょうか。生涯未婚率は年々上昇傾向にあり、最も一般的な相続人である子が不在なため、故人の兄弟姉妹が相続人となるケースも増加することが予想されます。兄弟や姉妹がどのようなケースで相続人となるのか、または、ならないのか、本コラムでしっかりと確認したいところです。

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