第224回相続コラム 養子の兄弟姉妹がいる場合の相続

相続コラム

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第224回相続コラム 養子の兄弟姉妹がいる場合の相続

第224回相続コラム 養子の兄弟姉妹がいる場合の相続

近年、節税対策や『孫に直接遺産をのこしたい』など、様々な理由から、養子縁組を相続対策に活用されるケースが増加傾向にありますが、養子と実子との間で相続分に違いはあるのか、また、両親が養子縁組した結果、養子の兄弟姉妹が増えた場合、兄弟姉妹間の相続はどうなるのか疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回のコラムでは、養子と実子がいる場合の相続や養子の兄弟姉妹がいる場合の相続について解説したいと思います。

 

養子と実子の相続分について

養子と実子との間に、遺産の取り分である相続分の違いはあるのでしょうか。

結論から言いますと、養子と実子との間に相続分の違いはありません。

例えば、ある夫婦が、自身のお孫さんに直接遺産をのこしたいと考え、お孫さんと養子縁組を行ったとします。そして、その夫婦には元から、長男と次男の2人の子がいたとします。仮に、その夫婦の夫が亡くなった場合には、配偶者である妻が1/2の遺産を相続し、残りの1/2の遺産を、長男、次男、養子縁組した孫の3人で、均等に分ける(1/2×1/3=1/6)ことになります。

民法第809条では、「養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する。」とされており、養子も実子も特に区別はされず、相続分も遺留分も違いはありません。

 

税法上は養子と実子に違いが生じることがある

民法上は、養子と実子の区別はなく、相続分等に違いはないのですが、税法上は、取り扱いに差異が生じる場合があるので注意が必要です。

相続税を計算する際には、「法定相続人の数×600万円+3000万円」という計算式で求められる基礎控除額があり、上記の計算式からすると、法定相続人が1人増えれば、600万円分の控除額が増える計算になります。

しかし、節税目的で何人も養子縁組をするのは家族制度として好ましくないという観点から、養子を法定相続人の数に含めることができる人数は「実子がいる場合には1人、実子がいない場合には2人まで」という制限が税法にはあります。

 

養子の兄弟姉妹がいる場合の相続人

自分の両親が、節税対策等のために、知らないところで第三者と養子縁組をしており、その結果、兄弟姉妹が増えていたという場合、その養子によって増えた兄弟姉妹は自分の相続人となるのでしょうか。

例えば、Aさんの兄弟姉妹は、姉のBのみだったのですが、両親が節税対策として、従兄弟のCと養子縁組をしたとします。仮に、Aさんには、子がいなく、Aさんについて相続が発生した段階では、既に両親は他界していたとすると、Aさんの相続は兄弟姉妹ということになりますが、その兄弟姉妹にはCさんも含まれるのでしょうか。

民法第727条では、「養子と養親及びその血族との間においては、養子縁組の日から、血族間におけるのと同一の親族関係を生ずる。」と定められているため、Cも問題なくAの兄弟姉妹になります。つまり、たとえAさんが、Cさんが兄弟姉妹になっていたことを知らなかったとしても、両親と有効に養子縁組が成立している以上、Aさんとの間にも新たな親族関係が生じるということになります。

 

全血兄弟姉妹と半血兄弟姉妹とで異なる相続分

兄弟姉妹間で相続が発生する場合、その取り分である相続分は、耳慣れない言葉かもしれませんが、『全血兄弟姉妹』と『半血兄弟姉妹』とで異なります。

全血兄弟姉妹とは、父母双方を同じくする兄弟姉妹のことをいいます。上で挙げた例のCさんは『両親』と養子縁組しているため、全血兄弟姉妹にあたります。

半血兄弟姉妹とは、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹のことをいいます。例えば、異母兄弟などが半血兄弟姉妹にあたります。また、両親の一方とだけ養子縁組を結んだ場合も、半血兄弟姉妹にあたると考えられています。

そして、民法第900条第4項但書では、「父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。」と定められており、半血兄弟姉妹の相続分は、全血兄弟姉妹の半分となります。仮に、上の例で挙げたCさんが、『両親』とではなく、片方の親とのみ養子縁組を行っていた場合には、Cさんの相続分は、Bさんの半分ということになります。

 

おわりに

養子と実子がいる場合の相続や養子の兄弟姉妹がいる場合の相続について解説しましたが、いかがだったでしょうか。相続対策等で養子縁組を利用される際には、そもそも養子縁組によって相続関係や税金関係はどうなるのか、しっかりと把握した上で検討することが大切です。

当事務所は、長年数多くの相続案件に携わってきており、また、相続税に強い税理士とも提携しております。相続に関する無料相談も実施しておりますので、相続に関することでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。信頼できる税理士をご紹介することも可能です。