第93回相続コラム 共同遺言の禁止 – 夫婦で一緒に遺言を作成する場合の注意点

相続コラム

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第93回相続コラム 共同遺言の禁止 – 夫婦で一緒に遺言を作成する場合の注意点

第93回相続コラム 共同遺言の禁止 – 夫婦で一緒に遺言を作成する場合の注意点

当事務所では特に子供のいないご夫婦に遺言書作成をお勧めしています(「第41回相続コラム 相続の落とし穴!? 子どもがいない夫婦の相続問題2」をご参照ください。)。今回のコラムでは、夫婦で遺言書を作成する場合には注意しなければならないことについて解説します。

遺言事例

妻と相談して、夫婦で一緒に遺言作成をすることとしました。私は自分の財産を妻に、妻は妻の財産を私に、それぞれ相続させる内容の遺言を二人で1枚の紙に買いて、連名で署名捺印をして封印しようと思っていますが、このような自筆証書遺言は有効でしょうか?

 

共同遺言の禁止

民法975条は「遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない。」として、このような「共同遺言」を明確に禁止しています。複数人で共同して1枚の紙に書いた遺言書だと、そのうち一人が自由に撤回等をできなくなるためです。上の事例のご質問にあるような遺言書では夫婦どちらの遺言も無効となってしまいます。このような自筆証書遺言を作成してはいけません。

 

共同で作成した遺言でも例外的に有効となる場合

作成名義の異なる2つの遺言書が、それぞれ別の紙に記載されて契印と一緒に綴られていても、その遺言書が容易に切り離すことができるものであった場合には、共同遺言の禁止にはあてはまらない、とした最高裁判所の判例(平成5年10月19日判決)があります。 したがって、夫婦それぞれが別の紙にそれぞれの遺言書を書き、同じ封筒に入れて封をしておいた、というケースであれば無効となることはないとも考えられます。しかし、誤解等を避けるために、夫婦がそれぞれ作成した遺言書は、封筒も分けて保管しておくべきでしょう。

 

当事務所のオススメの遺言

当事務所では、ご夫婦で遺言書を作成する場合、やはりお二人それぞれ公正証書遺言を作成することをお勧めしています。公正証書遺言を作成するためには証人が2人必要であり、夫婦がお互いの遺言の証人にはなることができないことには注意が必要ですが、ご夫婦が同一の日付に同じ公証役場でそれぞれ遺言書を作成するのが最も望ましい形だと思われます。

当事務所では遺言書についての幅広く相談をお受けしています。お気軽にご相談ください。