第92回相続コラム どうする?相続したけど必要のない不動産

相続コラム

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第92回相続コラム どうする?相続したけど必要のない不動産

第92回相続コラム どうする?相続したけど必要のない不動産

相続財産の中でも不動産の扱いに関する相談は、世田谷区で長年相続についてのご相談を受けている当事務所でも数多くのご相談があります。今回のコラムでは、「相続はしたけれど必要のない不動産」の放棄について解説します。

 

不動産相続の相談例

亡くなった父から相続した田舎の不動産の固定資産税だけを毎年支払っていますが、この先も特に必要のない不動産です。売却しようと思っても買い手もつかないようなので、放棄して国に寄付することは可能でしょうか?

 

不動産の寄付の申し出について財務省等の対応

現在、財務省のWEBサイトには、不動産の寄付の申出について以下のように記載されています。

「寄付の申出があった場合、土地等については、国有財産法第14条及び同法施行令第9条の規定により、各省各庁が国の行政目的に供するために取得しようとする場合は、財務大臣と協議の上、取得手続をすることとなります。なお、行政目的で使用する予定のない土地等の寄付については、維持・管理コスト(国民負担)が増大する可能性等が考えられるため、これを受け入れておりません。」

民法239条には「所有者のない不動産は、国庫に帰属する」という条文があります。しかし、単純に不動産の所有者が所有権を放棄しようとしても、ごく稀な例外を除いて不動産の所有権が国に移ることにはならないのが実情です。

市区町村等の自治体も、自治体側に必要性がなければ寄付は受け入れられません。必要のない土地を、寄付したい側の都合で受け取ってもらうことはできないのです。

 

所有者不明土地等対策

ところで、現在政府は所有者不明土地等対策の推進にあたって、これ以上所有者不明の土地が増やさないために「土地所有権の放棄を可能とする方策」を検討しています。

現在検討されている放棄の要件は、

①土地の権利の帰属に争いがなく筆界が特定されていること、
②土地について第三者の使用収益権や担保権が設定されず所有者以外に土地を占有する者がいないこと、
③現状のままで土地を管理することが将来的にも容易な状態であること、
④土地所有者が審査手数料及び土地の管理に係る一定の費用を負担すること、
⑤土地所有者が,相当な努力が払われたと認められる方法により土地の譲渡等をしようとしてもなお譲渡等をすることができないこと、

というものです。

急速な少子高齢化等の社会情勢の変化に伴って、不動産を手放したいと考える人は年々増えていると考えられます。政府には実効性のある政策が期待されるところです。

当事務所では不動産について幅広く相談をお受けしております。お気軽にお問い合わせください。