第70回相続コラム わかりやすい自筆証書遺言の保管申請等の流れ

相続コラム

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第70回相続コラム わかりやすい自筆証書遺言の保管申請等の流れ

第70回相続コラム わかりやすい自筆証書遺言の保管申請等の流れ

今年の7月10日から施行される自筆証書遺言保管制度について、4月20日に「法務局における遺言書の保管等に関する省令」というものが公布されました。つまり、遺言保管制度の具体的な流れ・手続きが発表されました。今回のコラムでは、省令によって明らかになった点を含め、遺言者による自筆証書遺言の保管申請等の流れを解説します。

1.自筆証書遺言の作成

まずは、保管すべき自筆証書遺言を作成します。自筆証書遺言について詳しくは「第4回相続コラム いまさら聞けない遺言の基本1」をご覧ください。

 

2.遺言保管所を調べる

保管の申請ができる遺言書保管所は遺言を書く人(遺言者)の住所地、遺言者の本籍地又は遺言者が所有する不動産の所在地のいずれかを管轄する遺言書保管所です。なお、東京都の遺言書保管所は東京法務局本局(九段下)、板橋出張所、八王子支局、府中支局、西多摩支局の5カ所のみです。多くの法務局出張所では遺言書の保管を申請することができませんので注意が必要です。また、遺言によって財産を譲り受ける人の住所地等は無関係です。

 

3.申請書の作成

申請書は法務省のホームページからダウンロードできるようになる他、遺言書保管所の窓口にも備え付けられることになっています。また、申請には住民票が添付書類として必要になります。具体的には、本籍の記載がある作成後3ヶ月以内の住民票を用意します。

 

4.保管申請予約

申請には原則として予約が必要です。法務省のHPまたは遺言書保管所への電話で予約をします。令和2年7月1日から予約が可能となる予定とされています。

 

5.保管申請

保管申請には必ず遺言者本人が遺言書保管所に出頭しなければなりません。保管申請の手数料3900円は収入印紙で支払いします。顔写真付の本人確認書類が必ず必要となります。例えば健康保険証では申請することができません。免許証やパスポートをお持ちでない方はマイナンバーカードの取得をお勧めします。

 

必要書類
・申請書
・本籍の記載がある作成後3ヶ月以内の住民票
・保管申請手数料 3,900円(収入印紙)
・顔写真付の本人確認書類

 

6.保管証の受け取り

手続が終了すると、遺言者に保管証が交付されます。その後の手続でも便利かつ重要な書類ですし、家族に遺言書の存在や保管について伝える際にも役に立つ書類です。紛失しても再発行はされませんので注意が必要です。

 

保管後にできること

遺言書閲覧

遺言者本人であれば、保管した遺言書を閲覧することができます。遺言書原本を保管した遺言書保管所で原本を閲覧できる(手数料1700円)だけでなく、全国どこの遺言書保管所でもモニターによる閲覧が可能です(手数料1400円)。閲覧には、やはり予約と顔写真付の本人確認書類が必要です。

保管申請の撤回

遺言者本人が撤回書を提出すると遺言書原本の返却を受けることができます。勿論予約と顔写真付の本人確認書類が必要ですが、手数料はかかりません。この「撤回」はあくまで保管申請の撤回に過ぎないので、遺言の効力とは関係ありません。もともと遺言が有効なものであれば、保管を撤回して手元に戻ってきた遺言の効力はそのまま有効です。

変更

保管申請以降に氏名や住所に変更があった場合、変更の届出をする必要があります。手数料はかかりません。この届出は本人出頭に限らず、法定代理人による手続や郵送による手続も可能です。