第252回相続コラム 遺言書の検認期日に欠席した場合、相続権や罰則はどうなるの?

相続コラム

相続コラム

相続コラム

相続コラム

第252回相続コラム 遺言書の検認期日に欠席した場合、相続権や罰則はどうなるの?

第252回相続コラム 遺言書の検認期日に欠席した場合、相続権や罰則はどうなるの?

家庭裁判所から検認期日の通知が突然届いたけど、仕事や家庭の事情で出席できないという方も少なくありません。その際、気になるのが、検認期日に欠席すると「相続権はどうなるのか?」、「欠席したら罰則があるのか?」といったことではないでしょうか。今回のコラムでは、家庭裁判所の検認ついて簡単にまとめつつ、遺言書の検認期日に欠席するとどうなるのかについて解説したいと思います。

 

遺言書の検認とは

遺言書の保管者や遺言書を発見した相続人は、遺言者(遺言書を作成した人)が亡くなったことを知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、『検認』という手続きを請求しなければなりません。(公正証書遺言や自筆証書遺言書保管制度を利用している場合には、検認は不要です。)

『検認』とは、相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。

簡単に言うと、遺言書の中身が偽造されたり、変造されたりしないように、家庭裁判所という公的な機関において、遺言書の内容等をチェックする手続きが検認ということです。

そして、その検認は、相続人全員に、遺言書が存在するということと、その内容を知らせる役割をもつため、検認の申し立てがなされると、家庭裁判所により、検認を行う日=検認期日が指定され、「いついつに家庭裁判所で検認を行うので、来所してください」という通知が相続人に対して発せられることになります。

なお、検認を怠ったり、検認を経ないで遺言を執行したり、家庭裁判所外で遺言書を開封したりすると、罰則の適用がありますので注意が必要です。

民法第1004条第1項
遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。

民法第1005条
前条の規定により遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所外においてその開封をした者は、五万円以下の過料に処する。

 

検認期日に欠席するとどうなるのか

検認という手続きは、あくまで遺言書の存在等を相続人に知らせ、その内容等を確認するための手続きなため、検認期日に欠席したからといって、相続権を失ったり、罰則・ペナルティが課せられるということはありません

遺言書の内容を早く知りたいという相続人の方は、出席することをおすすめしますが、検認期日に欠席したことによりペナルティがあるわけではないのでご安心下さい。また、欠席する際に、欠席する旨の連絡等も特に必要ではありません。

ただし、検認を申し立てた人は検認期日を欠席することはできません。検認の申立人が、検認期日に遺言書を家庭裁判所に持参しないと、検認自体がそもそも不可能となってしまうからです。

もし、申立人が検認期日に欠席すると、出席した相続人に迷惑をかけるだけでなく、検認を怠ったとして、罰則の適用を受ける危険性がありますで、事前に検認の希望日を伝える際には、確実に出席できる日を選ぶことが重要です。なお、弁護士を代理人として出席させることは可能です。

おわりに

今回のコラムでは、家庭裁判所の検認ついて簡単にまとめつつ、遺言書の検認期日に欠席するとどうなるのかについて解説しましたが、いかがだったでしょうか。検認の申立人以外の相続人は、突然検認期日の通知を受け取り、また、都合のつかない日が指定されている等により、出欠で悩む方や、欠席した場合に不利益を被らないか心配される方も少なくありません。今回のコラムがそのような方の不安解消に役立てば幸いです。

当事務所では、相続・遺言・相続登記などに関する相談を広く受けております。相談は、初回無料ですので、相続についてわからないことや、お悩みのある方は、お気軽にご相談ください。