第253回相続コラム 相続手続きで重要となる期間の計算方法

相続コラム

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第253回相続コラム 相続手続きで重要となる期間の計算方法

第253回相続コラム 相続手続きで重要となる期間の計算方法

相続が発生した際には、様々な手続きが必要となりますが、その手続きには期限が設けられているものも少なくありません。例えば、相続放棄をする場合には3ヶ月以内、相続税の申告が必要な場合には10ヶ月以内、相続登記が義務化されると3年以内に登記申請が必要などです。今回のコラムでは、様々な相続手続きを行う際に重要となる『期間』の正確な計算方法を解説したいと思います。

 

初日不算入の原則

期間を計算する際に、知っておきたいルールとして『初日不算入の原則』というルールがあります。

その名のとおり、「日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない」というルールであり、民法という法律で定められています。

 

民法第140条
日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。

 

例えば、相続放棄を行う場合には、「自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内」に行う必要がありますが、この相続放棄の熟慮期間は「三箇月以内」という「月単位」で期間が定められているため、『初日不算入の原則』が適用されます。

そのため、仮に、1月1日に「自己のために相続の開始があったことを知った」とすると、1月1日から計算するのではなく、1月1日を算入せずに、1月2日から計算を始めることになります。つまり、1月1日から「三箇月以内」ではなく、1月2日から「三箇月以内」に手続きを行う必要があるということになります。

 

相続の話から少し脱線してしまいますが、例えば、とある契約を1月1日に結び、その内容として『この契約は2月1日から3ヶ月間有効』とあった場合には、初実不算入の原則は適用されず、そのまま2月1日も算入されます。この契約では、期間が午前零時から始まるので、上で挙げた民法第140条の但し書きに該当するからです。相続放棄の熟慮期間の起算点のように「○○を知った時」は、通常、特定の日のランダムな時間になることから、「期間が午前零時から始まる」には該当せず、初実不算入の原則が適用されることになります。

 

期間の計算

では、上記の例で、初日不算入の原則を適用し、1月2日から「三箇月」といった場合、この「三箇月」とは具体的にどのように計算するのでしょうか。

この点、民法では、次のようなルールが定められております。

 

民法第143条第1項
週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。

 

この「暦に従って計算する」という表現は、わかりづらい表現ですが、簡単に言うとカレンダー通りに計算し、“1ヶ月は30日だから、3ヶ月だと90日かな”というような計算はしないということを意味します。

例えば、1月2日から「3ヶ月」は、4月2日と計算します。“2月は28日までしかないから、2日分足して4月4日で3ヶ月”というような計算はしません。

 

満了日の計算

これまでの解説から、仮に、1月1日に「自己のために相続の開始があったことを知った」とすると、相続放棄の手続きは、1月2日から「三箇月」以内に行う必要があり、1月2日から「三箇月」は4月2日となります。

そして、民法では、期間の満了は、「起算日に応当する日の前日に満了する」と定められているため、4月2日の前日4月1日午後12時で期間が満了することになります。

 

民法第143条第2項
週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。

 

また、仮に満了日が平日ではなかった場合には、その翌日が満了日となります。

例えば、上の例で、4月1日が日曜日であった場合には、4月2日午後12時で期間が満了となります。仮に4月1日が土曜日であった場合には、4月2日も日曜日で休日にあたるため、4月3日午後12時で期間が満了となります。(土曜日も「その他の休日」にあたる)

 

民法第142条
期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その翌日に満了する。

 

おわりに

今回のコラムでは、相続に関する様々な手続きを行う際に重要となる『期間』の正確な計算方法を解説しましたが、いかがだったでしょうか。相続に関する手続きには、期間制限が設けられているものも少なくないため、その期間は正確に計算したいところです。もちろん、ギリギリになって手続きを行うのではなく、万が一、手続きに不備があった場合に備えて、時間的に余裕を持って手続きを進めることが大切となります。

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