第10回相続コラム 意外と知らない負担付遺贈活用法

相続コラム

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第10回相続コラム 意外と知らない負担付遺贈活用法

第10回相続コラム 意外と知らない負担付遺贈活用法

遺言を書く際に一般的に思い浮かべられるのは
ご自身の財産を単純に譲り渡すことかと思います。
実は遺言で何かを譲り渡す際に、
遺言によって財産を譲り受ける相手に見返りとして一定の義務を負担させることができます。
これを負担付遺贈といいます。今回は負担付遺贈について解説したいと思います。

遺贈とは

遺贈とは、遺言によって遺言者の財産を譲ることをいいます。
遺贈の見返りとして受遺者に義務を負担させるものが負担付遺贈です。
ちなみに、遺言で財産を譲る人を「遺言者」、譲り受ける人を「受遺者」といいます。

負担付遺贈の活用

負担付遺贈の使い方としてよくあるのが

「奥様の生活費の面倒を見る代わりに不動産などの財産をお子さんに継がせる。」や
最近だと自分の死後にペットの世話をする代わりに一定の財産を譲り渡すなどがあります。

ご自身の財産を譲る代わりに、
自分ができなくなるであろうことを他の人に託すことができるのがポイントです。
残されたご家族が安心できるのはもちろんですが、
ご自身も安心することができるので遺言を書く際には活用したいですね。

負担付遺贈の注意点

負担する義務以上の財産を渡す必要がある。

法律上、受遺者は遺贈の目的の価値を超えない限度においてのみ、負担した義務を履行しなければならないとされています。つまり、あげる財産の価値以上の義務を指定することはできません。
先程の例ですが、妻の生活費に毎月15万かかるのに、譲り渡す財産が50万しかないというのでは話になりません。これでは3ヶ月ほどしか面倒を見る義務がないことなります。

遺贈の放棄

遺言が出てきて突然義務を負担するように言われても、必ずしもその人が義務を負担するとは限りません。
受遺者は義務を負担するのが嫌であれば、遺贈を放棄することができます。
その場合は、負担によって利益を受けるはずの人が、遺贈の目的物を譲り受けることができます。
先程の「奥様の生活費の面倒を見る代わりに不動産などの財産をお子さんに継がせる。」という例ならば、「奥様」が「不動産などの財産」を譲り受けることができます。

遺贈の放棄や負担が実現されない場合に備える

負担付遺贈を行っても、上記のように放棄されたり、なんらかの事情で負担の義務を実行してもらえない場合も考えられます。負担付遺贈を行う方は、あらかじめ受遺者になる方とよく話し合ってから、遺言を作成するのがおすすめです。また、受遺者がちゃんと負担を実行するかを見守るために、遺言執行者を指定しておくという手もあります。

遺言執行者とは

遺言執行者に指定された人は、相続財産の管理や、その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を持つことになります。したがって、遺言執行者がいる場合には、相続人といえども、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることはできません。