第203回相続コラム 姻族関係終了届と併せて知っておきたい復氏届とは

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第203回相続コラム 姻族関係終了届と併せて知っておきたい復氏届とは

第203回相続コラム 姻族関係終了届と併せて知っておきたい復氏届とは

前回のコラムでは、配偶者が亡くなった際に利用することのできる『姻族関係終了届』について解説しました。『姻族関係終了届』は、配偶者が亡くなったからといって、必ず届け出なければならないものではありませんし、むしろ利用されないのが通常です。義理の両親の介護を押し付けられたり、義理の家族のお墓の問題に巻き込まれたりと、何らかの事情で、「義理の親族(姻族)との関係を絶ちたい」という場合に利用されるケースがほとんどです。今回のコラムでは、『姻族関係終了届』と併せて知っておきたい『復氏届』について解説したいと思います。

 

姻族関係の終了と姓について

結婚の際に姓を変更されている方にとっては、「姻族関係終了届」を提出すると、ご自身の姓が婚姻時の姓のままなのか、旧姓に戻るのか気になるところではないでしょうか。

結論から言うと、姻族関係を終了したからといって、当然に姓が旧姓に戻るわけではありません。姻族関係を終了したとしても、婚姻時の姓に影響はなく、旧姓に戻したい場合には「復氏届」というものを提出する必要があります。姓の扱いが離婚による婚姻関係の解消とは異なります。

『離婚』の場合も、離婚時に旧姓に戻るか婚姻時の姓を継続して利用するかは選択可能ですが、婚姻時の姓をそのまま利用し続けるためには、「婚氏続称届 」というものを提出する必要があります。

それに対して、死別の場合には、それによって姻族関係が当然に解消されるものではなく、「姻族関係終了届」の提出によって姻族関係が解消されることになります。そして、「姻族関係終了届」を提出したとしても、婚姻時の姓をそのまま継続して利用するのが原則となり、旧姓に戻すためには「復氏届」の提出が必要となります。

民法751条1項
夫婦の一方が死亡したときは、生存配偶者は、婚姻前の氏に復することができる。

 

復氏届について

復氏届は、配偶者の死後、自身の姓を婚姻前の旧姓に戻すために提出する書類です。

「復氏届」は、「姻族関係終了届」と一緒に利用されることも多いのですが、「姻族関係終了届」を提出していなくても、「復氏届」のみを届け出ることが可能です。つまり、姻族関係は終了させずに、姓だけを旧姓に戻すことも可能です。

また、 復氏届の提出は、単独で可能であり、配偶者の親族側の同意等は不要です。

 

復氏の手続

提出先

復氏届の提出先は、本籍地のある市区町村役場または住所地の市区町村役場となります。

 

必要書類

●届出書(窓口で入手)
●戸籍謄本
●婚姻前の戸籍に戻る場合には、婚姻前の戸籍謄本
●印鑑・本人確認書類

届出書は市区町村役場の窓口で入手することが可能です。届出書を提出する際に、戸籍謄本が必要となりますが、本籍地の市区町村窓口に提出する際には不要です。

また、復氏届を提出すると、現在の戸籍(亡くなった配偶者の戸籍)から抜けることになりますので、新しく戸籍を作るか、婚姻前の戸籍に戻るのかを選択することになります。仮に、婚姻前の戸籍に戻る場合には、婚姻前の戸籍謄本も必要となります。

 

提出期限

復氏届に提出期限はありません。ただし、国際結婚の場合には、配偶者が亡くなった日の翌日から3ヶ月が経過すると、届出に際して家庭裁判所の許可が必要となるので注意が必要です。

 

お子さんがいる場合の注意点

復氏届を提出したとしても、その届出によって旧姓に戻るのは、提出者本人のみで、お子さんがいる場合、その子はそのまま亡くなった配偶者の戸籍に残り、姓もそのままになります。

お子さんの姓と戸籍を、ご自身と一緒にするためには、家庭裁判所に子の氏の変更許可の申し立てを行い、家庭裁判所で審査を受け、変更許可を得る必要があります。

そして、変更許可を受けると「許可審判書」という書面が交付されますので、その書面と、新しい戸籍に入る書類である「入籍届」を市区町村窓口に提出すると、お子さんの姓が変更され、ご自身の戸籍に入籍させることができます。

 

おわりに

今回のコラムでは、復氏届について解説しましたがいかがだったでしょうか。大部分の方が「利用したことがない」手続きでしょうし、実際に利用される方は少ない馴染みの薄い手続きです。ただ、いざ相続の場面となると、予期せぬ争いやトラブルに巻き込まれることもあります。まだ、若い夫婦の方などは、心機一転新たなスタートのために、復氏を検討されるケースもあるかと思います。いざという時の備えとして、相続に関する手続きや制度を知っておくことは大切なことです。

当事務所では、相続に関するご相談を広く受けております。相続の手続きで、わからないこと、お困り事がありましたら、当事務所までご相談ください。初回相談は無料となっておりますので、お気軽にご相談ください。