第196回相続コラム 年金受給停止手続きとセットで行いたい未支給年金の請求手続きについて

相続コラム

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第196回相続コラム 年金受給停止手続きとセットで行いたい未支給年金の請求手続きについて

第196回相続コラム 年金受給停止手続きとセットで行いたい未支給年金の請求手続きについて

前回のコラムでは、年金受給者が亡くなった際に必要となる年金受給停止手続きについて解説しました。その際に、セットで行いたいのが未支給年金の請求手続きです。年金は自動で振り込まれるのが一般的なため、つい忘れがちな未支給年金の請求。今回のコラムでは、未支給年金とその請求手続きについて詳しく解説したいと思います。

 

そもそも未支給年金とは

年金の受給権者が亡くなった場合に、その方に支給すべき年金であって、まだ支給されていないものを未支給年金といいます。年金は、支給月の前月と前々月分がまとめて後払いされるため、受給権者が亡くなると、通常、未支給の年金が発生します。

例えば、老齢基礎年金の受給権者が7月20日に亡くなった場合、その者が最後に受け取った年金は、6月15日に支給された4月分と5月分になります。しかし、年金は受給権者が亡くなった月の分まで支給されるため、本来支給されるべきであった6月分と7月分が未払いとなります。これが未支給年金です。

 

誰が未支給年金を請求できるのか

従来、未支給年金を請求できる遺族の範囲は、受給権者の死亡の当時、死亡した受給権者と生計を同じくしていた、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹に限られていましたが、年金機能強化法に基づき、平成26年4月から、三親等内の親族も請求権者に含まれるようになりました。

ただし、未支給年金を受け取ることのできる権利には、順位がありますので、上記の者全員が請求できるのではなく、請求順位が上の者だけが請求できることになります。同順位の者が複数人いる場合には、そのうちの1人が全員を代表して受け取ることになります。

第1順位:配偶者
第2順位:子
第3順位:父母
第4順位:孫
第5順位:祖父母
第6順位:兄弟姉妹
第7順位:上記以外の三親等内の親族

なお、三親等の親族とは、具体的には、曾孫、曾祖父母、甥・姪、おじ(伯父)・おば(伯母)、配偶者の曾祖父母、配偶者の甥・姪、配偶者のおじ(伯父)・おば(伯母)などがあたります。

親等について詳しくは
第89回相続コラム 相続の基本、親等を徹底図解」をご覧ください。

 

国民年金法第19条1項
年金給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき年金給付でまだその者に支給しなかつたものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの者以外の三親等内の親族であつて、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の年金の支給を請求することができる。

厚生年金法第37条1項
保険給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき保険給付でまだその者に支給しなかつたものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの者以外の三親等内の親族であつて、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の保険給付の支給を請求することができる。

 

未支給年金の請求先

未支給年金の請求先は、故人が受給していた年金の種類によって、以下の表のように変わってきます。

※障害基礎年金:初診日が第3号被保険者期間なら年金事務所。
※遺族基礎年金:死亡日が第3号被保険者期間中の場合は、年金事務所。
※寡婦年金:年金事務所でも可。

 

未支給年金請求の必要書類

未支給年金の請求に必要となる書類として、一般的に次のような書類が必要となります。ただし、請求先によって必要書類が異なる場合がありますので、詳しくは請求先で確認することをおすすめします。

■未支給年金・未支払給付金請求書
■故人の年金手帳・年金証書
■故人の死亡の事実を明らかにできる書類(戸籍謄抄本、死亡診断書(コピー可)、住民票など)
■故人と請求者との身分関係を証明できる書類(戸籍謄本等)
■故人の住民票(除票)と請求者の世帯全員の住民票
■受け取りを希望する金融機関の通帳
■故人と請求者が別世帯の場合は生計を同一とする証明が必要となります(『生計同一関係に関する申立書 』の提出等)

『未支給年金・未支払給付金請求書』、『生計同一関係に関する申立書』は日本年金機構のホームページよりダウンロードすることができます。

未支給年金・未支払給付金請求書
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/todokesho/kyotsu/20140731-02.html

生計同一関係に関する申立書
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/todokesho/kyotsu/20140425.html

 

未支給年金請求の期限

未支給年金の請求について、特に期限は定められていません。しかし、受給権者の年金支払日の翌月の初日より起算して5年経過すると、時効により権利が消滅してしまうので、長期間放置することは禁物です。

 

おわりに

今回のコラムでは、未支給年金とは何か、その請求手続きついて解説しました。人が亡くなると、様々な公的手続きや、相続に関する手続きが必要となります。実際にご家族の方が亡くなると、葬儀や法要に追われ、また、精神的にも余裕がない状況になることがほとんどです。いざという時のために各種手続きについて知っておくことは心にゆとりを持つことにつながります。

当事務所では、相続に関するご相談を広く受けております。相続の手続きで、わからないこと、お困り事がありましたら、ご相談ください。また、事前の備えとして、相続対策についてのご相談もお受けしております。初回相談は無料となっておりますので、相続に関することなら何でも、お気軽にご相談ください。