第250回相続コラム 親子共有名義の不動産 相続が発生した場合どうなるの?

相続コラム

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第250回相続コラム 親子共有名義の不動産 相続が発生した場合どうなるの?

第250回相続コラム 親子共有名義の不動産 相続が発生した場合どうなるの?

不動産価格が高騰する中で、親子で資金を出し合い、親子共有名義で不動産を購入される方も少なくありません。親子共有名義の不動産がある場合に、一方の名義人である親が亡くなると、その不動産の権利はどうなるのでしょうか。今回のコラムでは、親子共有名義の不動産がある場合に、一方の名義人である親が亡くなった際の相続について解説したいと思います。

 

共有持分も相続の対象

複数人が一つの物を共同で所有している場合に、各共有者がその物について持っている所有権の割合を『共有持分』と言います。

共有持分は、例えば、他の共有者の同意がなければ共有物全体の売却ができない等の制限があるため、完全な所有権そのものとは異なりますが、いわば“制限付きの所有権”として財産的価値を有し、通常通り、相続の対象になります。

よくある勘違いとして、「共有者の1人が亡くなった場合に、亡くなった方の共有持分は、他の共有者の物になる」と思われている方も少なくありませんが、そうではなく、亡くなった方の共有持分は相続人が相続することになりますので注意が必要です。

 

●共有持分も相続の対象となります(共有持分は、相続人が相続します)。
●共有者の1人が亡くなったとしても、他の共有者の共有持分が当然に増えるわけではありません。

 

親子共有名義の不動産

不動産を親子で購入した場合には、親も子も、その不動産について、共有持分を持っている状態となります。そして、共有名義人のひとりである親が亡くなった場合には、その親が持っていた共有持分は、上で解説したとおり、相続の対象となります。

仮に、親の相続人が他の共有名義人である子のみという場合には、その子は親の持っていた共有持分を相続によって取得するため、結果、完全な所有権を取得することになります(100%の共有持分=完全な所有権)。

しかし、他に相続人がいる場合には、親が持っていた共有持分を相続人間で遺産分割することになるため、当然に共有者である子がその共有持分を取得できるわけではありません。

例えば、父、母、長男、長女という家族構成で、父と長男が共有名義で不動産を購入し、それぞれの共有持分は1/2ずつだったとします。そして、父が亡くなった場合、各相続人の法定相続分は、母が1/2、長男1/4、長女が1/4の割合となります。

上記の法定相続分通りに、共有持分を相続したとすると、
母は1/2×1/2=1/4の共有持分
長女は1/2×1/4=1/8の共有持分
長男は1/2×1/4=1/8の共有持分
を相続することになります。

長男は元々自身が有していた1/2の共有持分を合わせると、5/8の共有持分を有することになります。

 

共有者が増えるとトラブルも増える!?

共有持分が相続されることによって、共有者が増えると、共有者間でトラブルが増える危険性があります。

特に不動産は一般的に価値の高い財産であるため、その活用方法で意見が対立したり、いざ売却しようと思った際には、共有者全員の同意が必要となるため、共有者の数が増えれば増えるほど、合意を形成するのが難しくなります。

ですので、共有持分を遺産分割する際には、代償分割等の分割手段を活用し、共有持分が分散しないように工夫するなどの対応が重要です。

遺産分割の方法について詳しくは
第52回相続コラム 相続にはつきものの遺産分割。具体的にはどう分ける?」をご覧ください。

また、親が、自身の共有持分を他の共有者である子に相続させる旨の遺言書をのこしておくことで、共有持分を遺産分割のテーブルに載せないことが可能となるため、相続争いを避けるのに非常に有効な対策となります。

 

おわりに

今回のコラムでは、親子共有名義の不動産がある場合に、一方の名義人である親が亡くなった際の相続について解説しましたが、いかがだったでしょうか。今回のコラムのポイントは、共有持分も相続の対象であり、他の共有者の物に当然になるわけではないということと、共有持分が相続され、共有者が増えた場合には、争い事が増える危険性があるため、その対策が重要ということです。

当事務所では、相続・遺言・相続登記などに関する相談を広く受けております。共有名義の不動産の相続についてのお悩みや、相続対策として遺言をのこしたい等、相続についてわからないことや、お困り事のある方は、初回相談無料となっておりますので、お気軽にご相談ください。