第29回相続コラム 知って得する!?配偶者への贈与と配偶者控除
「第20回相続コラム 令和で変わる遺産分割」というコラムで新しい配偶者保護の制度を解説しました。結婚して20年以上経つ夫婦間において、配偶者に自宅が贈与(または遺贈)された場合には、その自宅は特別受益の対象外になるというお話でした。
実際に相続対策を考える際には、税金のことも考慮しなければなりません。
今回は、配偶者へ自宅を贈与した場合の税金について解説したいと思います。
夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除
婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、最高2,000万円まで配偶者控除が適用できるという制度があります。
婚姻してから20年経つ夫婦間における居住用不動産の贈与や居住用不動産の購入資金贈与があり、翌年の3月15日まで贈与を受けた不動産に実際に居住し、その後も引き続き居住する見込みがある場合にこの配偶者控除を受けることができます。
最大2,110万円が非課税
贈与が行われた場合には、基礎控除として110万円分の控除枠があるので、110万円を超えない贈与には税金はかかりません。そして、この配偶者控除は、贈与税の基礎控除額とは別に計算されるので、贈与税の基礎控除額110万円+配偶者控除額2000万円の合計2,110万円分が非課税となります。
節税効果はあまり期待できない!?
前述の配偶者控除を利用すると、最大2,110万円も非課税になり、大きく節税効果が見込めそうにも思えますが、一般的にはそれほど相続税軽減効果は期待できません。
1億6,000万円というライン
配偶者が遺産を相続する場合、配偶者には相続に関しても既に特別な控除があるので、相続分が1億6,000万円を超えない限り相続税はかかりません。
逆に、相続ではなく、贈与という形で不動産を取得すると、本来かからなかった税金がかかってくる可能性があります。
例えば、不動産を取得した際にかかる不動産取得税が課税されます。
登録免許税が5倍
相続ではなく贈与でご自宅を取得した場合、不動産取得税がかかるだけでなく、名義変更に必要な登録免許税も高額になります(相続の5倍!)。
贈与税の配偶者控除を利用するか検討される方は、税金面のことをよく考慮する必要があります。当相談所は、相続対策に強い税理士と連携しておりますので、お気軽にご相談ください。
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