第265回相続コラム 相続放棄した相続人がいる場合の相続登記の必要書類

相続コラム

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第265回相続コラム 相続放棄した相続人がいる場合の相続登記の必要書類

第265回相続コラム 相続放棄した相続人がいる場合の相続登記の必要書類

第261回~第263回相続コラムの中では、相続登記の典型的なパターンにおける必要書類を解説しました。しかし、実際の相続の場面では、典型的なパターン通りに手続きが進むとは限りません。今回のコラムでは、相続人の中に相続放棄をした相続人がいる場合の相続登記の必要書類について解説したいと思います。

 

相続放棄とは

相続放棄とは、相続に関する権利・義務の一切を放棄することをいいます。遺産を相続することができなくなるのはもちろん、借金等の負債も相続することがなくなるので、多額の借金等を相続することから免れるために利用されるのが一般的です。

相続放棄をすると、相続放棄をした人は、「初めから相続人とはならなかったものとみな」されます(民法第939条)。

相続放棄により、その放棄した相続人は、相続人ではなかったものとみなされる以上、例えば、遺産分割協議を行う際には、その協議に参加する必要はなくなるため、遺産分割協議書に署名や捺印する必要はありませんし、印鑑証明書の提出も不要になります。

民法第939条
相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。

 

相続放棄したことを証明する書類が必要

相続放棄をした相続人がいる場合、その放棄によって相続人が減る分、その者の住民票や戸籍謄本など、提出が不要になる書類が発生する一方、その者が相続放棄したことを証明するための書類の提出が必要となります。

本来、相続人となるはずの者が相続放棄によって相続人ではなくなっていたとしても、そのことは戸籍等を確認しても判断することはできないので、法務局の登記官に、間違いなく相続放棄したということを確認してもらうために、相続放棄したことを証明するための書類として「相続放棄申述受理証明書」というものを提出することになります。

「相続放棄申述受理証明書」は、簡単に言うと、家庭裁判所に発行してもらう、相続放棄が受理された旨を証明する書面になります。

相続放棄したことを証明する書類
相続放棄したことを証明する書類として、最も確実で頻繁に利用されるのが上で解説した「相続放棄申述受理証明書」です。他にも、登記実務上、相続放棄申述受理証明書と同等の内容が記載された 「相続放棄等の申述有無についての照会に対する家庭裁判所からの回答書」や「相続放棄申述受理通知書」を提出することができるとされています。

 

相続登記の必要書類について具体例

法定相続分どおりに相続する場合における相続登記の必要書類は、一般的に、下記のようになります。(各書類について詳しい解説は「第261回相続コラム 相続登記の必要書類-法定相続分どおりに相続する場合」をご覧ください。)

■登記申請書
■被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等
■被相続人の住民票の除票(または戸籍の除附票)
■相続人全員の戸籍謄本
■相続人全員の住民票
■相続する不動産の固定資産評価証明書等
■相続する不動産の登記事項証明書(または登記簿謄本)※提出不要

ここで、もし相続人の中に相続放棄をした者がいる場合には、相続登記の必要書類は、下記のようになります。

■登記申請書
■被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等
■被相続人の住民票の除票(または戸籍の除附票)
■相続人全員の戸籍謄本(相続放棄した相続人の戸籍謄本は不要)
■相続人全員の住民票(相続放棄した相続人の住民票は不要)
■相続する不動産の固定資産評価証明書等
■相続する不動産の登記事項証明書(または登記簿謄本)※提出不要
相続放棄申述受理証明書

相続放棄した相続人がいるので、そのことを証明するために「相続放棄申述受理証明書」が新たに必要となります。相続放棄した者は相続人ではなくなっているので、その者の戸籍謄本や住民票の提出は原則として不要となります。

 

おわりに

今回のコラムでは、相続人の中に相続放棄をした相続人がいる場合の相続登記の必要書類について解説しましたが、いかがだったでしょうか。相続放棄をした相続人がいる場合には、その相続人に関する戸籍謄本等の書類が不要になる反面、相続放棄によって相続人ではなくなっていることを証明するために「相続放棄申述受理証明書」の提出が必要になるということが今回のコラムのポイントです。

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