第262回相続コラム 相続登記の必要書類-遺産分割協議によって相続する場合

相続コラム

相続コラム

相続コラム

相続コラム

第262回相続コラム 相続登記の必要書類-遺産分割協議によって相続する場合

第262回相続コラム 相続登記の必要書類-遺産分割協議によって相続する場合

前回のコラムでは、法定相続分どおりに相続する場合における相続登記の必要書類について解説しました。今回のコラムでは、遺産分割協議によって相続する場合における相続登記の必要書類について解説したいと思います。

なお、相続登記の代表的なパターンについては、前々回のコラム「第260回相続コラム 知っておきたい相続登記の3つのパターン」をご覧ください。

 

相続登記の必要書類

遺産分割協議によって相続する場合における相続登記の必要書類は、下記のようになります。

■登記申請書
■遺産分割協議書
■相続人全員の印鑑証明書
■被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等
■被相続人の住民票の除票(または戸籍の除附票)
■相続人全員の戸籍謄本
■不動産を相続する相続人の住民票
■相続する不動産の固定資産評価証明書等
■相続する不動産の登記事項証明書(または登記簿謄本)※提出不要

以下、各書類について解説していきます。

 

登記申請書

相続登記を申請する以上、申請書の提出が必要となります。登記の申請書は、法務局の窓口やホームページから入手することができます。

法務局ホームページ
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/minji79.html
※上記サイトの20番の「所有権移転登記申請書(相続・遺産分割)」が相続登記の申請書になります。

 

遺産分割協議書

遺産分割協議によって遺産を相続した場合、その遺産分割協議の内容を記した遺産分割協議書の提出が必要となります。

法律上、遺産分割協議が有効に成立するためには、相続人全員の合意が必要ですので、相続人全員が協議の内容に合意したことを示すために、相続人全員が遺産分割協議書に署名捺印します。

 

相続人全員の印鑑証明書

遺産分割協議書には、相続人全員が実印で捺印します。その実印が間違いなく相続人本人のものであることを確認するために、相続人全員の印鑑証明書の提出が必要となります。

ですので、仮に印鑑登録をしていない相続人がいる場合には、前提として、印鑑登録をする必要があります。

 

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等

相続が発生したことを証明し、相続人が誰であるかを特定するために被相続人の戸籍謄本等が必要となります。

相続が発生したことの証明、すなわち被相続人が亡くなったことの証明は、被相続人の最後の戸籍謄本(または除籍謄本)があれば足りますが、相続人が誰であるかを漏れなく特定するためには、被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍を遡って確認する必要があります。また、被相続人の兄弟姉妹が相続人となる場合には、被相続人本人の戸籍だけでなく、被相続人の両親の出生から死亡までの戸籍を揃える必要があるケースもあります。

なお、前回解説した法定相続分通りに相続登記するケースとは異なり、相続人全員が新たな登記名義人となるわけではありませんが、遺産分割協議の成立には相続人全員の合意が必要なため、やはり相続人全員を漏れなく特定する必要があるというのがポイントとなります。

 

被相続人の住民票の除票(または戸籍の除附票)

現在の登記簿上の名義人が、亡くなった被相続人と同一人物であることを証明するための書類として被相続人の住民票の除票(または戸籍の除附票)が必要となります。

実は、法務局は、登記名義人の『氏名』と『住所』を元に登記名義人の同一性を判断しているので、住所の記載のない戸籍謄本だけでは、登記名義人と亡くなった被相続人が同一人物なのかどうかを判断できないからです。

なお。被相続人が亡くなった際の住所と登記簿上に記録されている住所が異なる場合には、以前の住所地で記録されている「住民票の除票」または「戸籍の除附票」によって住所が移転したことを証明する必要があります。

 

相続人全員の戸籍謄本

当たり前のことのように思えますが、相続人となるためには、相続が発生した時点において、その相続人が生存している必要があります。仮に、相続発生時に、相続人が既に亡くなっている場合には、相続の順位が変動したり、代襲相続の問題になるからです。

相続発生時において、相続人が生存していることを証明するために、相続人全員の戸籍謄本が必要となります。

 

不動産を相続する相続人の住民票

相続登記によって、新たに不動産を相続する相続人が不動産の名義人となりますので、その名義人の住所地を確認する必要があります。ですので、遺産分割協議によって不動産を相続することになった相続人の住民票の提出が必要となります。

なお、前回解説した法定相続分通りに相続登記するケースとは異なり、相続人全員が新たな登記名義人となるわけではないので、相続人全員の住民票が必要となるわけではありません。

 

相続する不動産の固定資産評価証明書等

相続登記を申請する際には、登録免許税という税金を納める必要がありますが、その登録免許税の額は、相続登記を申請する不動産の固定資産評価額を元に計算されますので、その算出の根拠となる書類を提出する必要があります。登録免許税を算出する根拠となる書類が固定資産評価証明書や固定資産税課税明細書等になります。

法務局の登記官が「あなたの申請する不動産は●●円だから、登録免許税を●●円払ってください」などと言ってくれるわけではないので、申請者の方が、算出の根拠を示し、納付する必要があるのです。

なお、不動産の評価額は毎年変動するため、最新年度の証明書を提出します。

 

相続する不動産の登記事項証明書

相続登記の申請書を作成する際には、申請の対象となる不動産の正確な情報(地番、地目、家屋番号等)を記入する必要があるため、その確認のために登記事項証明書が必要となります。

あくまで、正確な情報を記入するために用いるので、登記事項証明書を申請の際に提出する必要はありません。

 

相続関係説明図について

相続関係説明図とは、故人(被相続人)と相続人との関係をツリー状にまとめた説明図のことをいいます。イメージとしては、被相続人と相続人の関係を分りやすく説明した『家系図』のようなものです。

相続関係説明図については、必ず提出しなければならない書類というわけではありませんが、提出しておくと、後に、申請時に提出した戸籍謄本等の原本を返却してもらうことができます。

相続の手続きを進める際には、様々な場面で戸籍謄本等が要求されるため、その都度、全ての戸籍謄本等を取り寄せるのは非常に手間がかかります。ですので、複数の相続手続きを進める際には、相続関係説明図の提出を行うと、他の手続きの進行がスムーズになります。

 

おわりに

今回のコラムでは、遺産分割協議によって相続する場合における相続登記の必要書類について解説しましたが、いかがだったでしょうか。法定相続分どおりに相続する場合は、前回のコラム「第261回相続コラム 相続登記の必要書類-法定相続分どおりに相続する場合」をご覧ください。

相続登記の必要書類は、多岐にわたり、その量も膨大となるため、全てを収集するだけでも、手間と時間がかかります。手続きによっては、法律的な専門知識を要求されるケースも少なくないため、手続きに不安のある方や、手間と労力を省きたいという方は、司法書士に相談することをおすすめします。

当事務所では、相続に関するご相談を広く受けております。相続の手続きで、わからないこと、お困り事がありましたら、当事務所までご相談ください。初回相談は無料となっておりますので、お気軽にご相談ください。