第264回相続コラム 令和6年3月1日よりスタートした戸籍証明書の広域交付制度とは

相続コラム

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第264回相続コラム 令和6年3月1日よりスタートした戸籍証明書の広域交付制度とは

第264回相続コラム 令和6年3月1日よりスタートした戸籍証明書の広域交付制度とは

相続登記等の相続手続きを行う際には、大量の戸籍証明書の提出を求められるのが一般的ですが、その戸籍証明書の収集は、意外と手間のかかる作業でした。しかし、令和6年3月1日に施行された戸籍証明書の広域交付制度により、より効率的に戸籍証明書の収集を行うことができるようになりました。今回のコラムでは、令和6年3月1日よりスタートした戸籍証明書の広域交付制度について解説したいと思います。

 

従来の戸籍証明書の収集

法務局で相続登記を申請したり、金融機関で故人名義の預金を解約・払戻しを行う等の相続手続きを進める際には、故人の出生から死亡までの戸籍証明書の提出が必要となることがほとんどです。

そして、戸籍は市区町村単位で別々に管理されているため、故人が、婚姻、離婚、転籍、養子縁組等により本籍地が別の市区町村に移動したことのある場合には、それぞれ別の市区町村役場の窓口に戸籍証明書の発行を請求し、戸籍証明書を収集することになります。

例えば、出生時には、本籍地が沖縄県那覇市にあり、親の離婚により、新しく本籍地が大阪市になり、自身の結婚により本籍地が東京都世田谷区になり、仕事の異動で札幌勤務になり、その際に本籍地を札幌市に転籍したという人が亡くなった場合には、その人の出生から死亡までの戸籍証明書を収集するには、那覇市、大阪市、世田谷区、札幌市のそれぞれの役場で戸籍証明書の発行を請求しなければなりません。

もちろん、郵送等で戸籍証明書を請求することもできるのですが、それでも全ての戸籍を遡って収集することは、非常に手間がかかり、また、時間を要する作業でした。

 

戸籍証明書の広域交付制度とは

令和6年3月1日に施行された戸籍証明書の広域交付制度により、最寄の市区町村役場の窓口から、本籍地が遠方にある場合でも、欲しい戸籍証明書を請求することができるようになりました

また、欲しい戸籍証明書の本籍地が全国各地にある場合でも最寄の市区町村役場の窓口1箇所でまとめて請求することもできます

先程挙げた例で言うと、世田谷区の窓口で、那覇市、大阪市、世田谷区、札幌市を本籍地とする戸籍証明書をまとめて請求することができるということです。

 

広域交付制度による交付請求

広域交付制度により、交付請求できるのは、本人、配偶者、直系尊属(父母や祖父母)、直系卑属(子や孫)の戸籍証明書になります。

兄弟姉妹の戸籍証明書を広域交付制度により請求することはできません。兄弟姉妹の戸籍証明書が必要な場合には、通常通り、本籍地のある市区町村役場に郵送等により請求することになります。

また、戸籍証明書の広域交付制度は、ITインフラに基く戸籍情報連携システムによって実現されていますので、戸籍情報がそもそも電子化されていない一部の戸籍は、広域交付制度により交付申請することはできません。

参考:法務省ホームページ
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji04_00082.html

また、広域交付制度を利用する際には、直接最寄の市区町村役場の窓口で交付請求する必要があります。郵送で請求することはできません。窓口では、本人確認のために、顔写真付きの身分証明書が必要となります。手続きの詳細は最寄の市区町村窓口でご確認ください。

参考:世田谷区ホームページ
https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/kurashi/001/001/d00207975.html

 

戸籍証明書と戸籍謄本
上記参考サイトや本コラムでは、『戸籍証明書』という言葉を使っていますが、呼び方が異なるだけで『戸籍証明書(全部事項証明書)』と『戸籍謄本』は同じものです。『戸籍証明書(一部事項証明書)』は『戸籍抄本』と同じものです。戸籍事務がコンピュータ化されている市区町村では『戸籍証明書』と呼びますが、コンピュータ化されていない市区町村では『戸籍謄本(抄本)』と呼びます。

 

おわりに

今回のコラムでは、令和6年3月1日よりスタートした戸籍証明書の広域交付制度について解説しましたが、いかがだったでしょうか。相続手続きでほぼ必須となる戸籍証明書の収集の際には、是非活用したいところです。

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