第214回相続コラム 相続登記の際に必要な書類って何?遺産分割協議書or遺言書?

相続コラム

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第214回相続コラム 相続登記の際に必要な書類って何?遺産分割協議書or遺言書?

第214回相続コラム 相続登記の際に必要な書類って何?遺産分割協議書or遺言書?

令和6年4月1日から義務化される相続登記。改正法が施行され、相続登記が義務化されると、相続登記を怠った場合には罰則の適用もあるため、早めに対応しておきたいところです。相続登記を申請する際には、遺産分割協議書や遺言書等の提出を求められるのですが、相続のケース毎に求められる書面が変わってきます。今回のコラムでは、相続のケース毎に、相続登記に必要となる書面を整理してみたいと思います。

 

相続登記の申請に必要な登記原因証明情報とは

相続登記を申請する際には、原則として、『登記原因証明情報』というものを、申請書に添付して提出する必要があります。

不動産の所有権が移転した際には、それが移転するに至った何らかの原因(例えば、売買や贈与)があるはずで、「それらの原因・事実が間違いなく存在しました」ということを証明する書面等を、『登記原因証明情報』といいます(例えば、不動産売買であれば、売買契約書、贈与であれば贈与契約書等が、登記原因証明情報となり得ます。)。

所有権が移転するに至った原因が相続による場合でも、この『登記原因証明情報』を添付して、登記を申請する必要があるのです。

相続登記を申請する際に添付する『登記原因証明情報』として、相続人を明らかにする戸籍謄本等の書類がありますが、その中でも、代表的なものが遺言書と遺産分割協議書です。相続のケース毎に、添付する書面が変わってきますので、ケース毎に解説していきます。

 

遺言書があるケース

遺言書がある場合には、遺言書の内容に沿って、遺産を分配することになるため、戸籍謄本等の他、遺産分配の内容を書き記した遺言書自体も登記原因証明情報となります。

遺言書の種類によっては、検認という手続きが必要となるため、その場合には、家庭裁判所による検認を受け、その後発行される『検認済証明書』の添付も必要となります。

検認について詳しくは
第49回相続コラム 知らないと罰せられることも!?遺言の検認」をご覧下さい。

 

遺言書がないケース

遺言書がないケースでは、通常、遺産の分配は、遺産分割協議で決めることになるため、相続登記の際の『登記原因証明情報』は、相続人を明らかにする戸籍謄本等と遺産分割協議書になります。

 

遺言書があっても遺産分割協議書の提出が必要なケース

遺言書の内容として、具体的に、誰が不動産を相続するのか記載されている場合には、上述のように、遺言書が『登記原因証明情報』となりますが、遺言書に不動産の相続について記載がない場合には、遺言書だけを見ても、被相続人の不動産が、どの相続人の所有物となったかは不明なため、遺言書を『登記原因証明情報』として利用することはできません。

遺言書に記載のない相続財産については、通常、遺産分割協議によって、誰が相続するのかを決めることになるため、遺言書に記載されていない不動産について相続登記を申請するには、『登記原因証明情報』として、遺産分割協議書が必要になります。

 

■遺言書によって、不動産を相続する者が特定できる場合には、遺言書が登記原因証明情報となる
■遺言書がない場合や遺言書だけでは不動産を相続する者が特定できない場合には、遺産分割協議書が登記原因証明情報となる

 

遺言書も遺産分割協議書も不要なケース

相続人が1人の場合には、遺産を他の相続人と協議して分配するということはありませんので、遺産分割協議書を提出する必要はありませんし、そもそも協議自体が不可能です。ですので、相続人が1人(単独相続)の場合には、被相続人が亡くなり(相続が発生)、その相続人は1人だということが証明できれば足りるため、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等一式と法定相続人の戸籍謄本その他の公的書類が「登記原因証明情報」となります。

相続人が複数人いたとしても、法律で定められた法定相続分通りにそのまま不動産を相続する場合には(相続人全員の共有不動産として登記)、遺産分割協議書は不要なため、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等一式と法定相続人全員の戸籍謄本その他の公的書類が「登記原因証明情報」となります。

 

おわりに

今回のコラムでは、相続登記の際に、提出が要求される遺言書や遺産分割協議書について、ケース毎に必要な書類をまとめてみましたがいかがだったでしょうか。「どのようなケースにどのような登記原因証明情報が必要か」という判断は、法律的な知識が要求されるため、判断に迷ったら、登記の専門家である司法書士に相談することをオススメします。誤った手続きをすることで、法務局から何度も補正を命じられ、余計な手間がかかってしまう危険性があるからです。

当事務所では、相続問題・相続登記に精通した司法書士が無料相談を実施しております。相続登記や相続に関することでお悩みの方は、お気軽に当事務所までご相談ください。