第49回相続コラム 知らないと罰せられることも!?遺言の検認

相続コラム

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第49回相続コラム 知らないと罰せられることも!?遺言の検認

第49回相続コラム 知らないと罰せられることも!?遺言の検認

遺言は相続対策の最も重要な手段の一つであり、遺言の利用も一層増加すると思われます。今回は、そんな遺言が見つかった場合に必要となる検認手続きについて解説していきたいと思います。

検認とは

遺言の保管者や遺言を発見した相続人は、遺言者(遺言を書いた人)の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならないと法律で定められています。

「検認」とは、相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。

簡単にいうと、遺言を保管している人や発見した人は、遺言を書いた人が亡くなった場合には、家庭裁判所という公的な機関に、遺言が確かにあったということと、その内容を確認してもらう手続きをしてもらう必要があるということになります。

検認の効力

検認は、遺言があるということとその内容が形式的に整っているかを確認するのみなので、遺言の効力を証明するわけではありません。ですので、検認済の遺言書であっても、内容に不備があれば、後日、遺言の全部又は一部が無効になることはありえます。遺言の有効・無効と検認済みかどうかは一切関係がないので注意が必要です。

遺言書の内容に基づいて預金の相続手続や不動産の相続手続をする際、金融機関や法務局では、検認がされていない遺言では手続を進めることができません。ですので、遺言に基づいて相続手続きをする際には検認が必要となります。

検認を怠ると、罰則があり、5万円以下の過料に処せられることがありますので、こちらも注意が必要です。

検認が必要となる遺言の種類

遺言には自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言の3種類があるのですが、このうち検認が必要となるのは前二者です。公正証書遺言は、そもそも公証役場に原本が保管されることになるので、その存在は明らかであり、また、偽造ということも原理的に不可能だからです。令和2年7月10日から施行される遺言保管制度を利用した場合も、同様の理由で自筆証書遺言であったとして検認は不要になります。

検認手続き

家庭裁判所に遺言書の検認申立をすると、相続人全員に裁判所から検認期日(検認を行う日)の通知がされます。申立人以外の相続人が検認期日に出席するかどうかは、各人の判断に任されており、相続人全員が揃わなくても検認手続は行われます

検認期日では申立人が提出した遺言書を、出席者の立会のもと開封し、検認手続が行われます。その後、検認済証明書の申請をすることが可能となります。

検認申し立てに必要な書類

家庭裁判所での検認申立の際の一般的な添付書類は以下の通りです。

・申立書
・遺言書
・遺言者の出生から死亡までの戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
・相続人全員の戸籍謄本

遺言者に子供や直系尊属(両親・祖父母)がいなかった場合、検認申立のためには遺言者だけでなく遺言者の両親の出生から死亡まで戸籍謄本を集めなければなりません。戸籍謄本を集めるだけで1~2ヶ月かかることもあります。検認期日の指定は、通常申立から1~2ヶ月先に指定されることが多いので、検認申立ての準備から完了まで、通常3~4か月はかかることになります。

検認手続を要する自筆証書遺言は、遺言者が亡くなってから遺言書の内容を実行するまでに時間がかかることがデメリットの一つになっています。

遺言が突然見つかってどうしたらいいのかわからないなどのお困り事がありましたら、当相談所にお気軽にご相談ください。