第129回相続コラム いまなら使える相続登記の登録免許税の免税措置

相続コラム

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第129回相続コラム いまなら使える相続登記の登録免許税の免税措置

第129回相続コラム いまなら使える相続登記の登録免許税の免税措置

国が進める「所有者不明土地問題」への対策の一環として、相続登記が義務化されますが、相続登記を申請する際には登録免許税を納付する必要があります(登録免許税について詳しくは「第128回相続コラム 相続登記と登録免許税の計算方法」をご覧ください。)。今回のコラムでは、本来必要となる登録免許税を免除し、相続登記を申請しやすくするための特別な措置ついて、解説したいと思います。

 

登録免許税の免税措置概要

登録免許税の免税措置は、平成30年度の税制改正により定められましたが、相続登記の義務化にあわせて、令和3年度の税制改正により、免税措置の適用期限が令和4年3月31日までに延長され、また、その適用対象も一部拡大されています。

登録免許税が免除になるケースは以下の2つの場合になります。

1)相続により土地を取得したものが相続登記をしないで死亡した場合
2)市街化区域外の土地で市町村の行政目的のため相続登記の促進を特に図る必要があるものとして法務大臣が指定する土地のうち、不動産の価額が10万円以下の場合

 

相続により土地を取得したものが相続登記をしないで死亡した場合

相続により土地を取得した場合において、その相続人が相続登記を受ける前に死亡したときは、死亡した相続人名義にする相続登記が免税になります。

例えば、登記名義人となっているAが亡くなり、Aの相続人Bが相続により土地の所有権を取得した場合において、その相続登記をしないままBが亡くなったときは、相続人Bをその土地の登記名義人とするための相続登記については、登録免許税が免除となります。

注意が必要なのは、例えば上記の例の場合、Bは既になくなっているため、実際に登記の申請を行うのはBの相続人Cになります。そして、BからCへの相続登記については、通常通り、登録免許税の納付が必要になります。免除になるのは、AからBへの相続登記についての登録免許税です。

また、免税になるのは「土地」の相続登記についてなので、土地の上に建物が存在する場合には、建物についての相続登記も必要になりますが、その登録免許税についての免税措置はありません。

 

市街化区域外の土地で市町村の行政目的のため相続登記の促進を特に図る必要があるものとして法務大臣が指定する土地のうち、不動産の価額が10万円以下の土地の場合

難しい条件のように見えますが、ポイントは3つあります。

1.市街化区域外の土地
2.上記の土地のうち、法務大臣が指定する土地
3.不動産の評価額が10万円以下

 

1.市街化区域外の土地

市街化区域というのは、都市として発展させるために「住宅をどんどん建てたり、開発してもいいですよ」と指定された地域のことです。どこが市街化区域なのかは、市区町村の都市計画課に問い合わせるか、インターネットで、例えば「世田谷区 都市計画図」等と検索すると調べることが可能です。

市街化区域外の土地なので、一概には言えませんが、多くの場合、山林や畑などの土地であることがほとんどです。

 

2.上記の土地のうち、法務大臣が指定する土地

法務大臣が指定する土地に関しては、各法務局のホームページにどこが指定された土地なのかが公示されています。

例えば、東京法務局であれば、下記ページ下部に指定された土地のPDFがあります。
http://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/page000698.html

 

3.不動産の評価額が10万円以下

不動産の価額とは、固定資産税評価額を指します。購入額や路線価は関係ありません。不動産の固定資産税評価額が10万円以下の場合だけ免税となります。

市街化区域外であり不動産の評価額が10万円以下ということなので、実際には、山林や畑などの相続の際に放置されがちな土地を想定していることになります。

 

登録免許税の免税措置が気になる方はご相談を

登録免許税の免税措置について解説しましたが、適用されるケースはあまり多くはありません。しかし、免税になるケースであれば、免税措置が講じられている期間内に申請する方が節税になります。登録免許税の免税措置について気になることがありましたら、相続を得意とする司法書士に相談されることをオススメします。当事務所でも、相続や遺言、相続登記に強い司法書士がおりますので、お気軽にご相談ください。