第130回相続コラム DINKsの相続対策としてすぐに使える遺言書の文例

相続コラム

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第130回相続コラム DINKsの相続対策としてすぐに使える遺言書の文例

第130回相続コラム DINKsの相続対策としてすぐに使える遺言書の文例

当事務所では、相続や遺言について、広く相談を受けておりますが、特に力を入れていることの一つにDINKs(子どものいない夫婦)の相続対策があります。今回のコラムでは、DINKsの方の相続対策として、すぐに使える遺言書の文例を紹介し、解説したいと思います。

 

DINKsと相続

DINKsは相続トラブルに遭いやすい

DINKsは、一般的に相続トラブルに遭いやすいと言われています。夫婦のどちらかについて相続が発生すると、残された夫婦の方は、義理の親や義理の兄弟姉妹と遺産分割協議をする必要があり、それらの方と関係が疎遠であったりすると、本来間に立つべき仲裁役が不在のこともあり、トラブルにつながるケースが多く見られます。また、生活資金として当てにしていた財産が目減りすることで揉めたり、持ち家の相続方法などで揉めるケースがあります。

 

DINKsの相続対策としての遺言書

DINKsに限った話ではありませんが、遺言書を作成しておくことで、多くの相続の場面で無用なトラブルを回避することができます。特にDINKsの場合には、遺言書を作成することで、遺産分割協議の手間を省くことができることは大きなメリットとなり(義理の家族との協議が不要)、また、遺留分のない義理の兄弟姉妹については、遺言で財産の承継を排除できるので、残された配偶者のために必要な財産を必要なだけ相続させることが可能になります。

詳しい解説は「第123回相続コラム DINKs(子どものいない夫婦)こそ注意したい。相続トラブルから配偶者を守るためにできること」をご覧ください。

 

DINKsが相続対策に使える遺言書の文例

DINKsの相続対策として特に有効な遺言書。その文例をご紹介します。

 

遺言書

遺言者 経堂太郎(昭和○年○月○日生)は、次のとおり遺言する。

第1条
遺言者は、遺言者の有する不動産、預貯金、現金その他一切の財産を、妻経堂花子(昭和○年○月○日生)に相続させる。

第2条
遺言者の死亡以前に、妻経堂花子が亡くなっている場合には、前条の財産を弟経堂次郎(昭和○年○月○日生)に相続させる。

第3条
遺言者は、この遺言の遺言執行者として、次のものを指定する。
東京都世田谷区宮坂3-9-4 アルカディア経堂1階
経堂司法書士事務所 司法書士 高橋朋宏

 

令和○年○月○日
東京都世田谷区○町○丁目○番地
遺言者 経堂太郎 印

 

遺言書の書き方解説

遺言書のタイトルとして「遺言書」と記載します。法律上、タイトルの記載は要求されていませんが、それが遺言書であることを明確にするためにも記載することをオススメします。

遺言書の内容として、「誰が」「誰に」「何を」相続させるのかを具体的に記載します。今回の文例では、DINKsの夫が妻に全財産を相続させる内容になっています。

予備的文言

上記文例の「第2条」は、予備的文言と呼ばれるもので、仮に妻が先に亡くなってしまった場合でも、遺言自体が無効にならないように、予備として記載しておく文言になります。必ず記載しなければならないわけではありませんが、せっかく書いた遺言が無駄にならないように、万が一に備えて記載しておくのが無難です。

 

遺言執行者の指定

遺言書には、それを執行する遺言執行者を指定することができます(上記文例「第3条」)。

遺言執行者の指定も必須ではありませんが、遺言執行者は、法的に様々な権限が付与されるため、指定しておくと、その後の手続きがスムーズに行えます。

遺言執行の際には、各種財産の名義変更や複雑な手続きが必要な場合がありますので、法律の専門家等を遺言執行者として指定する方も多くいらっしゃいます。遺言執行者について詳しくは「第33回相続コラム 意外と知らない遺言執行者について」をご覧ください。

 

その他注意点

上記文例は、自筆証書遺言を念頭に置いてますので、実際に利用される場合には、プリントアウトして用いるのではなく、全文、手書きで自書する必要があります。日付と署名と印鑑も必要となります。

DINKsの相続対策には必須と言える遺言書の作成。遺言書の作成方法や遺言執行者の指定など、遺言に関することでお悩みの方は、お気軽に当事務所にご相談ください。