第58回相続コラム 登記簿謄本の取り方 徹底解説
相続の手続き、遺言書や遺産分割協議書を記載する場合など、何かと登記簿謄本が必要になることが多いと思います。今回は登記簿謄本の取り方について解説していきたいと思います。
不動産登記簿とは
法務局という役所に保管されている不動産の権利関係についての記録簿、これが不動産登記簿になります。不動産という重要な財産の権利関係について、役所で公に記録することによって権利関係を明確にし社会の取引の安全を図っています。この不動産登記簿の謄本がいわゆる登記簿謄本になります。
登記簿謄本の必要性
遺言書や遺産分割協議書に不動産の記載をする場合、不動産の表示を正確に記載しなければいけません。通常、権利証と一緒に取得当時の登記簿謄本が保管されていますが、その後同じ不動産に他の登記がされて何らかの変更がされていることも少なくないので、必ず最新の登記簿謄本で確認する必要があります。所有者だけでなく地番や地積等の他の登記事項が変更されていることもあるので、例えば昭和の頃の登記簿謄本をあてにして重要な手続を進めることはできないのです。
従来の登記簿謄本の取得方法
従来、不動産の登記簿謄本を取り寄せる方法は、物件の管轄法務局に直接出向く方法と、返信用封筒等を同封した交付請求書を郵送して取り寄せる方法の2つしかありませんでした。現在は登記簿がコンピュータ化されたことにより、登記情報は紙の登記簿ではなく、登記記録というデータとして保管されています。「登記簿謄本」は「登記事項証明書」に名前が変わりましたが、現在も登記簿謄本という単語は広く使われています。
現在の登記簿謄本の取得方法
現在、登記簿謄本の取り方は主に3つあります。
1.窓口で請求してその場で受け取る方法
まず、自宅や勤務先等の最寄りの法務局の窓口まで出向いて、窓口で請求してその場で受け取る方法です。以前と違って物件の管轄法務局まで出向く必要はありません。備え付けの交付請求書に記入して窓口に提出します。料金は1通につき600円です。収入印紙も法務局の収入印紙売り場で購入することができます。法務局の業務取扱時間は平日の午前8時30分から午後5時15分までです。
2.事前にオンラインで請求し、最寄りの法務局の窓口で受け取る方法
事前にオンラインで請求し、最寄りの法務局の窓口で受け取る方法もあります。自宅や勤務先等のパソコンから請求して、最寄りの法務局の窓口で証明書を受け取ることができます。手数料は480円です。インターネットバンキングで電子納付できるほか、Pay-easyに対応したATMでも納付することができます。電子証明書や専用ソフトのダウンロードは必要なく、法務局での待ち時間も短縮されます。
3.オンラインで請求し、自宅又は勤務先等に郵送で取り寄せる方法
オンラインで請求し、自宅又は勤務先等に郵送で取り寄せることも可能です。この場合の手数料は郵送費も含めて500円です。納付後、概ね1~2営業日後までには配達されます。平日に法務局まで出向くことができない方にはこの方法をお勧めします。
オンラインでの請求(2または3)をご検討の方は「登記・供託オンライン申請システム」のホームページにアクセスして「かんたん証明書請求」をご利用ください。
登記・供託オンライン申請システム
https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/
登記簿謄本をオンラインで閲覧
なお、登記簿謄本(登記事項証明書)を取得するのではなく、不動産の登記内容をパソコンで確認したい場合には、別途インターネットを使って「登記情報提供サービス」を利用する方法があります。登録費用を除けば、不動産登記情報を1件334円で閲覧することができます。
登記情報提供サービス
https://www1.touki.or.jp/
当相談所を含む多くの司法書士事務所では常時このサービスを利用しており、手元に最新の登記簿謄本がなくても、当相談所にご相談に来ていただければ、その場で最新の登記情報を確認することが可能です。お気軽にご相談ください。
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