第96回相続コラム よくわかる父親が再婚の場合の相続

今回のコラムでは、具体的な相談事例をもとに父親が再婚の場合の相続についてご紹介します(実際のご相談とは一部内容を変更しています)。
相続の相談事例
私(B)は独身で子供もいませんが、既に亡くなった妹(C)のところに姪(E)がいます。よく面倒をみてもらっていることもあり、不動産を含む遺産は全て彼女にあげたいと考えています。
ところで、私と妹は父親が再婚したあとの子供で、実は母親が違う兄(A)がいます。この兄とはこれまでほとんど交流がありませんでした。兄は既に亡くなっているようですが、どうも男の子(D)がいるようです。兄とは母親も違いますし、父とその前妻は離婚もしていたので、私の法定相続人は姪(E)一人だけ、ということで正しいでしょうか?
誰が相続人になるのか
このケースでBさんが亡くなった場合、法定相続人はEさんだけではありません。法定相続人はDさんとEさんの2人です。お父さんが前妻と離婚をしていたとしても、BさんとAさんは父親が同じ兄弟だからです。
なお、同じBさんの兄弟でも、父親のみが同じAさんと、両親とも同じCさんでは、法定相続分が異なります。
民法900条第4項但書
父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。
Bさんが亡くなった場合、EさんはCさんの代襲相続人、DさんはAさんの代襲相続人にそれぞれなり、結局Eさんの法定相続分は3分の2、Dさんの法定相続分は3分の1となります。(代襲相続について詳しくは「第11回相続コラム 法定相続人の具体的範囲と相続分」をご覧ください。)
遺言と遺産分割
このままBさんが亡くなると、Eさんはそれまで交流がなく疎遠だったDさんと、遺産分割協議をしなければいけません。そもそも話し合いを始めることも簡単ではなく、Eさんにとって叔父であるBさんの相続が大きい負担となってしまいかねません。
Bさんが遺産を全てEさんにあげたいと考えているのであれば、生前に遺言書を作成すべきです。Bさんがそのような内容の遺言書を作成してさえいれば、DさんにはBさんの相続について遺留分もないので、EさんはスムーズにBさんの遺産を全て相続することができるのです。
当事務所では相続や遺言書作成について、幅広く相談をお受けしています。お気軽にご相談ください。
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