第229回相続コラム 離婚した場合、元夫・元妻は相続人になるのか?離婚した夫婦の子は誰の相続人となるのか?
近年、およそ3組に1組の夫婦が離婚しているというデータもあり、離婚歴があるという方も決して珍しくはありません。離婚に伴い、家族関係が変化すると、相続にどのような影響がでるのか気になる方も多いのではないでしょうか。今回のコラムでは、離婚した際に、元夫・元妻は互いの相続人になるのか、離婚した夫婦の子は、誰の相続人となるのかなど、離婚と相続の関係をまとめてみたいと思います。
元夫・元妻の相続権
誰が相続人となるのか、相続権があるのかについては、法律で定められており、法律で定められた相続権のある者を、法定相続人といいます。
民法第890条では、「被相続人の配偶者は、常に相続人となる。」と定めれられており、婚姻関係にある者同士は、互いに相手の法定相続人となります。
しかし、離婚をすると、それによって婚姻関係が解消され、「配偶者」ではなくなるため、相続権を失うことになります。つまり、元夫や元妻は、互いに相続人となることはありません。
事実婚と法律婚
民法で規定されている「配偶者」とは、同法で定める婚姻の手続きに従った婚姻関係(「法律婚」の関係)にある者を指します。ですので、実態として夫婦同様の関係にあるが、法律で定める婚姻届等を出していない、いわゆる「事実婚」の場合には、相続権が認められないのが現状です。事実婚の内縁配偶者に遺産をのこすためには、遺言を作成するなどの対応が必要となります。
離婚した夫婦の子は誰の相続人?
夫婦が離婚すると、婚姻関係は解消され、互いに配偶者ではなくなるため、元夫婦相互間に相続権はありません。では、離婚した元夫婦の子は、誰の相続人となるのでしょうか。
結論から言いますと、離婚によって、夫婦関係が解消されたとしても、親子関係が消滅するわけではないので、子が両親の相続人となる権利を失うことはありません。つまり、子にとっては、たとえ両親が離婚していたとしても、両親が自分の親であることには変わりないので、相続する権利が失われることもないということです。
親権の有無は無関係
よくある間違いとして、「離婚によって親権者は元妻となっているので、子は元妻の相続人ではあるけど、自分(元夫)の相続人ではないのでは?」と誤解されている方も少なくありませんが、親権の有無と、相続権の有無は関係ありません。
親権の有無は、子の養育・監護等をするのは誰かという問題にすぎず、相続権の有無は、あくまで親子関係の有無によって決まるからです。
まとめ
■離婚によって、婚姻関係が解消されると、夫婦は互いに配偶者ではなくなるため、相続権を失います。
■夫婦間の婚姻関係が解消されたとしても、親子間の関係が変わるわけではないので、子は両親の相続人たる地位は失いません。
■親権の有無は、親子関係に影響しないため、相続権にも影響はありません。
おわりに
今回のコラムでは、離婚した際に、元夫・元妻は互いの相続人になるのか、離婚した夫婦の子は、誰の相続人となるのかなど、離婚と相続の関係をまとめてみましたが、いかがだったでしょうか。家族観等の変化により、離婚する夫婦も珍しくなくなったため、離婚と相続の関係が気になる方向けのコラムとなっています。
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