第56回相続コラム もはや家族の一員のペット。ペットへの相続はできるの?

相続コラム

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第56回相続コラム もはや家族の一員のペット。ペットへの相続はできるの?

第56回相続コラム もはや家族の一員のペット。ペットへの相続はできるの?

今や家族の一員とも言える存在となっているペットですが、ペットを飼っているあなたがもし亡くなったとき、亡くなった後のペットの世話等が気がかりではないでしょうか。今回は、ペットに関する相続のお話を解説したいと思います。

ペットに遺産を相続させることはできない

結論から言いますと、残念ながらペットに財産を遺すことはできません。日本の法律下では人間以外の生き物は権利義務の主体になることはできないからです。ペットが銀行口座を持つことはできませんし、不動産を取得することもできないのです。したがって「ペットの~に財産を相続させる」という内容の遺言書を作成しても、その遺言書には法律上の効果がない、ということになってしまいます。

ペットのためにできること

ペット自体に財産を遺すことはできませんが、自分の死後、ペットの世話を引き受けてくれる人が見つかりさえすれば、現金等の財産をペットのために使ってもらう方法がいくつか考えられます。

負担付遺贈

まず、特定の方に財産を遺贈する代わりにペットの世話を見てもらう内容の遺言書を作成する方法です。負担付遺贈と呼ばれています。簡単に言うと「財産を譲り渡すからペットの世話をしてね」という遺言を作成することです。ペットの飼育方法やペットの埋葬先など詳しく記載することや、きちんとペットが受遺者から世話を見てもらえるのか、見守ってもらうために遺言執行者を別途指定しておくことも可能です。もっとも、遺言書に負担付遺贈が指定されていても、受遺者が財産の受取を放棄することは可能です。生前に受遺者となる方とよく話し合いをしておくことが重要です。

負担付死因贈与契約

負担付死因贈与契約と呼ばれる方法もあります。これは「自分の死後、財産を譲る代わりにペットの世話をしてね」という契約を結ぶものです。財産をペットの飼育を条件に特定の方に財産を遺す点は負担付遺贈と変わりませんが、遺言が遺言者の一方的な指定であるのに対して、現在のペットの飼い主本人と、本人の死後飼い主となる人の間で、約束に合意して契約するものです。新しく飼い主となる人は、契約を結んだ以上、一方的に財産の受取を放棄することはできません。負担付遺贈よりも確実な履行が見込まれます。

ペットのための信託契約

ペットのためにあてる一定の財産を他の財産と切り離して信託財産とし、信頼できる家族や友人を受託者として、信託契約を結ぶ方法もあります。委託者が死亡した場合だけでなく、痴呆が進んだり、老人ホームに入居した場合などに、受託者がペットを新たな飼い主や団体等に引渡し、信託財産の中からペットのためのお金を支出できるようにする、というのが一例です。信託契約というものが馴染みが薄く、信託契約の内容次第では、様々なことができるのですが、ポイントは、生前でも活用できるということと、受託者は信託の目的の範囲で裁量的に行動できるということです。

 

愛犬や愛猫は、その飼い主にとって人間と同じ家族の一員です。ご自身だけでなくペットの将来について不安のある方は、お気軽に当相談所にご相談ください。