第176回相続コラム 認知症対策まとめ 認知症対策の重要性とその手段について

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第176回相続コラム 認知症対策まとめ 認知症対策の重要性とその手段について

第176回相続コラム 認知症対策まとめ 認知症対策の重要性とその手段について

社会の高齢化とともに重要度が増している認知症対策。2025年には65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症を発症するとも言われており、決して他人事ではありません。複数回にわたって認知症対策についてコラムを掲載してきましたが、今回のコラムでは、それらを一度まとめてみたいと思います。

 

認知症対策の重要性

認知症になると口座が凍結

認知症を発症してしまうと、銀行口座が凍結され、預金を引き出したり、入金、振込み等が一切できなくなってしまいます。お金を引き出すことができないとなると、生活費はもちろん、病気の治療に必要な治療費・入院費や介護費用などを用立てることが難しくなり、仮にご家族が立て替えたとしても、大きな金銭的負担をご家族に強いることになってしまいます。

認知症による口座凍結について詳しくは
第172回相続コラム 認知症になるとお金が使えない!? 認知症による口座凍結について」をご覧ください。

 

認知症対策をしていない場合

いざ認知症を発症してしまい、何ら認知症対策を行っていない場合には、口座の凍結を解除したり、認知症となってしまった本人に代わって自宅の売却等の法的手続きを行うには、裁判所に申し立てを行い、成年後見人という代理人を選任してもらう必要があります(法定後見制度)。

しかし、法定後見制度を利用するためには、家庭裁判所での面倒な手続が必要であり、また、その制度自体も万能ではなく、ご家族にとって不都合なことや様々なデメリットもあります。

ですので、認知症になる前に「まだまだ元気なうちに」対策をすることが重要になります。

成年後見制度のデメリットついて詳しくは
第172回相続コラム 認知症になるとお金が使えない!? 認知症による口座凍結について」をご覧ください。

 

認知症対策

認知症対策の代表的な手法としては、任意後見制度や家族信託が挙げられます。

任意後見制度は、いざ認知症を発症した際に備えて、予め信頼できる人をご自身の後見人として選ぶことが可能であり、また、家族信託では、信頼できるご家族に財産を託し、ご自身のために運用・管理してもらうという手法になります。

どちらの対策も認知症対策として非常に有効なため、しっかりと認知症対策を行うためには、そのどちらか、または両方を併用するのがオススメです。

ただし、どちらの制度を利用する際にも、本人の意思能力・判断能力が必要となるため、「元気なうち」にしか利用することはできません。

認知症対策としての家族信託について詳しくは
第174回相続コラム 認知症対策に有効な家族信託(民事信託)について」をご覧下さい。

認知症対策としての任意後見制度について詳しくは
第173回相続コラム 認知症対策って何をすればいいの?任意後見制度について解説」をご覧下さい。

 

認知症向けの信託銀行のサービス

近年、認知症対策に有効な、一般の方向けの様々な信託サービスが信託銀行でも提供されるようになっており、前回のコラムで紹介した、代理出金機能付信託『つかえて安心』(三菱UFJ信託銀行)もそのひとつです。

代理出金機能付信託『つかえて安心』(三菱UFJ信託銀行)について詳しくは
第175回相続コラム 認知症対策として家族信託以外の信託~代理出金機能付信託 『つかえて安心』」をご覧ください。

上記以外にも、例えば、りそな銀行が提供する『ハートトラスト』という信託サービスもオススメです。

預けられる金額の上限が低く、その用途も医療費や介護費に限られますが、信託報酬は一律55,000円と、信託銀行のサービスとしては安価で、管理報酬も不要という点が大きな魅力です。また、信託を利用しているため、万が一本人が亡くなった場合には、相続手続きを省き、預けている残額をそのまま葬儀費用等に充てることも可能です。

りそな銀行『ハートトラスト』
https://www.resonabank.co.jp/kojin/shoukei/hearttrust.html

 

認知症対策は元気なうちに

認知症対策を行う上で、最も大切なことは、「まだまだ元気」なうちに対策することです。つい「まだまだ元気」と対策を怠ると、いざという時に採れる選択肢が限られ、ご自身もご家族も非常に苦労するケースが後を絶ちません。

事前の対策には、確かにある程度の出費は伴いますが、後の「安心」を買うためと思えば、その出費に見合う価値はあるではないでしょうか。

いきなり対策をするのは、難しいとは思いますが、まずは、ご自身に必要な対策は何か、どのような方法が適しているのか等を、専門家に相談することからはじめるのはいかがでしょうか。

当事務所でも、相続問題だけではなく、任意後見や家族信託などに関する相談を受け付けております。初回相談は無料ですので、お気軽にご相談ください。