第175回相続コラム 認知症対策として家族信託以外の信託~代理出金機能付信託 『つかえて安心』

相続コラム

相続コラム

相続コラム

相続コラム

第175回相続コラム 認知症対策として家族信託以外の信託~代理出金機能付信託 『つかえて安心』

第175回相続コラム 認知症対策として家族信託以外の信託~代理出金機能付信託 『つかえて安心』

前回のコラム「第174回相続コラム 認知症対策に有効な家族信託(民事信託)について」では、認知症対策の代表的手法である家族信託について解説しました。家族信託は、信頼できるご家族に財産を託し、その運用・管理を任せるというものでした。今回のコラムでは、信託銀行等が提供する、家族信託以外の信託について解説したいと思います。

 

信託銀行等が提供する信託サービス

家族が財産を管理する家族信託等の民事信託は、比較的新しい財産管理手法であり、以前は、そのような信託行為は、信託銀行などがメインに行っておりました。信託銀行が提供する信託サービスは、受託者である信託銀行が仕事としてサービスを提供しているため、安定感・信頼感がある反面、少なくない額の信託報酬や、管理手数料が必要になるのが一般的です。そのため、信託銀行を利用するのは、ある程度の資産を保有する方に限られ、一般の方に馴染みが薄いのも事実です。

しかし、認知症のリスクに備えることの重要性は、資産の多寡で変わるものではないので、近年、信託銀行も、認知症対策向けの、一般の方でも利用しやすい様々な信託サービスを提供するようになってきています。

 

代理出金機能付信託 『つかえて安心』

代理出金機能付信託 『つかえて安心』は、三菱UFJ信託銀行が提供する、認知症対策向けの信託サービスです。その名のとおり、予め指定した代理人(ご家族)が、本人に代わって口座から必要なお金を出金することができる信託サービスです。

どの信託サービスでも共通ですが、信託を利用するには、信託契約を結び、財産を託します。信託銀行の場合では、申し込みの手続き(信託契約)を行い、専用の口座に財産を預けます。

通常の預金口座であれば、基本的には、預けた預金の引き出しは本人しか行うことはできませんし、認知症になれば凍結されます。しかし、信託を利用した場合には、認知症発症後でも信託口座は凍結されませんし、信託契約の際に、口座からお金を引き出すことのできる代理人を設定することが可能です。

『つかえて安心』の最大の特徴は、代理人となったご家族が、専用のアプリを使って、本人に必要な生活費や医療費・介護費用などを簡単に払出できるという点です。

専用のアプリで払出を行う際には、何にお金を使用したのかわかる領収書を撮影し、送付する仕組みとなっており、その撮影された領収書が、他の登録したメンバーに送付されます。後の相続時に、財産を管理していたご家族が、財産を管理していなかったご家族から、財産の使い込みの疑いをかけられるというケースが少なくありません。このアプリでは、使途を明らかにする証拠を残しつつ、他の家族による監視もできるため、未然に争いを防ぐことができます。

 

信託報酬・管理手数料

代理出金機能付信託 『つかえて安心』を利用する際には、信託元本に応じた信託報酬が必要になります。例えば、1000万円の信託を設定すると、信託報酬率は1.65%なので、16万5千円の信託報酬がかかります。また、信託を利用している限り、毎月、管理手数料が発生しますが、こちらは月額528円と、比較的利用しやすい額と言えるのではないでしょうか。

代理出金機能付信託 『つかえて安心』
https://www.tr.mufg.jp/shisan/tsukaeteanshin_01.html

 

まとめ

信託銀行が提供する信託サービスは、様々な種類があり、また似たサービスであっても、提供主体によって、代理人の範囲、引き出せる用途、定額払出しの有無、報酬体系など、内容面で様々な差異があります。実際に信託サービスをご利用される際には、ご自身に必要なサービスは何かをよく吟味し、契約内容をよく確認することが大切です。

ご自身の要望にピッタリ合うものが見つからない場合には、オーダー型の信託を利用するという手段もあります。

当事務所では、相続・遺言についてのみならず、認知症対策としての家族信託・民事信託のご相談も受け付けております。相談は初回無料となっておりますので、「元気なうちに」お気軽にご相談下さい。