第50回相続コラム 押さえておくべき遺言保管制度

相続コラム

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第50回相続コラム 押さえておくべき遺言保管制度

第50回相続コラム 押さえておくべき遺言保管制度

平成30年7月に成立した遺言保管法(正式名称「法務局における遺言書の保管等に関する法律」)は、令和2年7月10日金曜日に施行されることが決まっています。同日以降、各地の法務局で自筆証書遺言の保管の申請手続が可能となりますが、今回のコラムでは、この制度の詳細について解説します。

保管の対象となる遺言

法務局への保管申請の対象になるのは、あくまで自筆証書遺言のみです。遺言には、他に公正証書遺言や秘密証書遺言があるのですが、保管の対象となるのは自筆証書遺言のみとなります。

遺言の種類について詳しくは、「第4回相続コラム いまさら聞けない遺言の基本1」をご覧下さい。

遺言保管の申請

申請は、遺言者の住所地又は本籍地、又は遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する法務局に対してすることになります。ただし、法務局の本局又は支局のみが取り扱うこととなり、出張所では取り扱いされない可能性が高いと考えられます。

遺言書の保管申請をする際には、必ず遺言者本人が法務局に出頭しなければなりません。郵送での申請や代理人による申請は認められません。例えば入院中や寝たきりなど、外出が困難である方には制度の利用はできません。

遺言が保管されると

いったん法務局で遺言書が保管されると、遺言者の生存中、遺言者以外の方は遺言書の閲覧等を行うことができません。遺言者本人は、保管された遺言書の閲覧を請求することができます。また、遺言書の保管の申請を撤回することもできます

特定の死亡した方について、相続人や受遺者等は、自分が相続人や受遺者等となっている遺言書が法務局に保管されているかどうかを証明した書面(遺言書保管事実証明書)の交付を請求することができます。遺言者の死亡後、遺言者の相続人、受遺者等は、遺言書の画像情報等を用いた証明書(「遺言書情報証明書」)の交付請求及び遺言書原本の閲覧請求をすることができます

この保管制度を利用した場合、家庭裁判所での検認手続が不要になります。遺言書保管制度を利用する場合の大きなメリットの一つです。検認について詳しくは「第49回相続コラム 知らないと罰せられることも!?遺言の検認」をご覧ください。

遺言保管制度が施行されたら

12月11日に公布されたばかりの「法務局における遺言書の保管等に関する政令」によれば、保管される遺言書の保管期間は遺言者の死亡の日から50年とのことです。しかし、遺言書の保管申請又は閲覧請求の際、手数料がいくらかかるのか?どのような添付書類が要求されるのか?等々まだ明らかにされていない点も多くありますが、分かり次第、当コラムでも解説する予定です。

保管申請される自筆証書遺言について、法務局はあくまで形式的な審査しか行いません。法務局が保管した自筆証書遺言でも、内容に不備があれば、遺言者の死後、遺言書の一部又は全部が無効となってしまう可能性もあります。

当相談所でも、遺言書の作成相談を承っております。お気軽にご相談ください。