第283回相続コラム 保証債務や連帯保証債務は相続の対象となるのか?

相続コラム

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第283回相続コラム 保証債務や連帯保証債務は相続の対象となるのか?

第283回相続コラム 保証債務や連帯保証債務は相続の対象となるのか?

前回のコラムでは、相続人になったらまず確認すべき事項として、遺産の調査、特に借金の有無を調査すべきということを解説しました。借金等のマイナスの財産も相続の対象となる以上、相続の際の調査は重要となりますが、保証債務や連帯保証債務も相続の対象となるのでしょうか。

保証債務や連帯保証債務は、借金そのものとは異なりますが、万が一の際には、借金を背負うことになってしまうため、保証債務等が相続の対象となるのかどうか気になる方も少なくないと思います。今回のコラムでは、保証債務や連帯保証債務は相続の対象となるのか解説したいと思います。

 

保証債務・連帯保証債務とは

保証債務とは、主たる債務者が債務を履行しない場合に、その債務を債務者に代わって履行する義務のことを言います。

借金の保証を例に説明すると、借金をした本人(主債務者)が借金を返さない場合に、代わりに借金を返済するのが保証債務ということになります。

連帯保証債務とは、保証人が、主たる債務者と連帯して債務を負担する義務のことを言います。通常の保証も連帯保証も、主債務者の義務の履行を保証する点で共通していますが、連帯保証の場合には、債権者は、主たる債務者に義務の履行を求めずに、いきなり保証人に義務の履行を求めることができる点で異なります。

借金を例に解説すると、連帯保証の場合には、債権者は、借金をした本人に返済を求めることが当然できますし、連帯保証人にいきなり返済を求めることも可能というわけです。

もちろん、債権者がいきなり連帯保証人に借金返済を求めてくるということは、通常ありませんが、法律上は、いきなり連帯保証人に借金の返済を求めることも可能であるため、借金の連帯保証債務があるということは、借金をしている状態に近いと言えます。

 

保証債務や連帯保証債務は相続の対象となるのか

相続の場面では、故人(被相続人)に属した一切の権利義務を相続人が引き継ぐことになるため、保証債務も連帯保証債務も相続の対象となるのが原則となります。

つまり、例えば、親が借金の保証人となっており、その親が亡くなり、子が相続人という場合には、相続人であるその子が保証人の立場を相続することになり、主たる債務者が借金を返済しない場合には、相続人たる子が借金返済の義務を負うということになります。

 

身元保証債務は相続の対象とならない

身元保証債務とは、雇われた人の債務不履行・不法行為等によって雇い主が損害を被った場合に、その損害を賠償する義務のことを言います。

身元保証債務は、一般的な保証債務とは異なり、相続の対象とはなりません

身元保証債務を発生させる身元保証契約は、身元保証人と本人との間の個人的な信頼関係によって成立しているのが通常であり、また、身元保証契約は、その保証期間も曖昧であるため、身元保証債務を相続の対象としてしまうと、相続人に予期せぬ多大な負担を強いる結果になりかねないため、相続の対象外とされているのです。

ただし、身元保証人が亡くなる前に、雇用主に損害が既に発生している場合には、具体的な損害賠償義務が既に生じているため、その損害賠償義務は相続の対象となります。

 

2020年4月1日以降の賃貸借契約の連帯保証債務

アパートやマンションなどを賃貸で借りる際には、連帯保証人を求められることがほとんどだと思います。被相続人が賃貸借契約の連帯保証人となっていたとしても、その連帯保証契約が2020年4月1日以降に締結されたものであれば、連帯保証債務は相続の対象となりません

2020年4月1日より連帯保証に関する改正法が施行されていますので、同日付以降に締結された賃貸借契約の連帯保証契約には、改正法が適用され、連帯保証人が亡くなった際には具体的な保証額が確定することになるため、連帯保証人が亡くなった時点において、家賃の滞納がなければ、相続人が連帯保証債務を相続することはありません。

ただし、連帯保証人が亡くなった時点で、既に滞納家賃が発生していた場合には、その滞納分の家賃を支払う義務を相続人が相続することになります。

 

おわりに

今回のコラムでは、保証債務や連帯保証債務は相続の対象となるのか解説しましたが、いかがだったでしょうか。相続の際に、遺産や借金の調査をしっかりされる方でも、保証債務についての調査は見落としがちなため、本コラムの情報を頭の片隅に入れておくと調査漏れ防止に役立つのではないでしょうか。

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