第309回相続コラム 相談事例から解説する「相続登記を自分でやった人が途中で挫折する理由」

相続コラム

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第309回相続コラム 相談事例から解説する「相続登記を自分でやった人が途中で挫折する理由」

第309回相続コラム 相談事例から解説する「相続登記を自分でやった人が途中で挫折する理由」

相続登記の申請は、登記の専門家である司法書士に依頼するのが一般的ではありますが、プロに手続きを依頼する以上、その報酬がどうしても必要となってしまいます。司法書士報酬を節約するために、相続人自らが申請するというケースもありますが、途中で挫折してしまう方も少なくありません。

今回のコラムでは、実際に当事務所でお受けした相談事例を元に、相続登記を自分で申請しようと試みたものの、途中で挫折してしまう理由について解説したいと思います。

なお、相談事例の内容については、プライバシーに配慮し、わかりやすく解説するため、内容を一部改変しています。

相談事例概要

相談者Xさんは、世田谷区在住の50代男性です。数ヶ月前に父親のAさんが他界し、Aさん名義の不動産(実家の建物およびその敷地)を弟のBさんとともに相続しました。話し合いの結果、実家は長男であるXさんが相続することに決まり、不動産の名義変更手続き(=相続登記)を自分で行うことにしました。

しかし、法務局に何度相談しても申請書類は完成せず、最終的に当事務所へ相談に来られた、というケースになります。

 

相続登記の申請を挫折する理由

相続登記を申請しても手続きが完了するとは限らない

相続した不動産の名義変更である相続登記は法務局に申請して行いますが、この申請を行っても必ず登記が完了するとは限りません

不動産登記は、重要な財産である不動産の権利関係を明確にし、公に示す制度です。そのため、申請方法には厳格なルールがあり、申請書の書き方や添付書類の内容が細かく法令で定められています。

そのため、申請書の記載方法に誤りがあったり、添付書類に漏れがあったりすると、申請が受け付けられても、却下ないしは補正を命じられたり、取り下げを促されたりします

 

申請書作成や書類収集には法律知識が必要となる

相続登記の申請には、申請書を作成し、添付書類を収集する必要がありますが、その作成・収集には一定の法律知識が要求されます。

例えば、一口に『相続』とは言っても、法定相続分通りに相続するケースもあれば、遺産分割協議や遺言によって相続するケースもあります。どのように『相続』したのかによって、申請書の記載方法は変わりますし、提出すべき書類も異なります。また、通常、相続登記の申請書を作成する際には、相続した不動産や相続人が誰であるかを正確に特定する必要がありますが、それらの特定には一定の専門知識・法律知識が要求されます。

さらに、登記申請の際に納付すべき登録免許税についても、法務局の方から「あなたの申請は○○だから、この金額を納付して下さい。」と言われるわけではないので、ご自身で税額を計算して納付する必要がありますし、その算定の根拠である固定資産評価証明書等の提出も求められます。

 

法務局の相談窓口には限界がある

相続登記を申請する法務局には、相談窓口があるのが通常です。法務局は、公的な機関であるため、無料で相談することができます。相続人自らが登記を申請する場合には、法務局の相談窓口を活用するのが一般的です。

ただし、法務局の相談窓口も万能ではなく、いくつか注意しなければならない点があります。

まず、法務局の相談窓口では、一般的な申請方法や添付書類について、説明はしてくれますが、個別の事情に踏み込んだアドバイスや法的判断が必要な内容には応じてくれません

例えば、遺産分割協議を行った場合に、どの様式に従って申請書を記載すべきかは説明してくれますが、遺産分割の具体的な内容やその内容が法律的に有効かどうか等は、説明してくれません。

また、法務局の相談窓口を利用できる日時等には制限があります。法務局は、基本的に、いわゆる役所になりますので、利用できるのは平日の営業時間内(9時~17時)ということになります。相談時間も1回あたり20分等の制限が設けられているのが普通です。利用回数に制限は設けられていませんが、再度別日に予約し直し、あらためて相談するという作業は非常に手間と時間がかかります。仮に再度予約したとしても、その際の相談員が同じ人とは限らないので、また一から説明しなおすという事態にもなりかねません。

 

今回の相談者Xさんが挫折した理由

相談者Xさんは、法務局の相談窓口を活用しながら、申請書の作成に取り組んでいましたが、馴染みの薄い法律的な書面の作成ということもあり、何度も法務局に通うことになりました。

相談者Xさんは、都内に勤務する一般の会社員の方であり、平日の昼間には仕事があります。ですので、法務局の相談窓口を利用する度に仕事を休む必要がありました。

何度も法務局に通い、それでも登記申請書が完成せず、このまま申請書類が完成するまで、何度も会社を休み続けることは難しいと判断し、当事務所へ相談することになりました。

 

司法書士への依頼で面倒事を丸ごと解決

相続登記を自力で申請する場合、途中で挫折する主な原因は、上で説明したように、申請書の作成や必要書類の収集には専門的知識が必要となる上に、法務局に通うためには、平日昼間に時間を確保する必要があるからです。

登記の専門家である司法書士に申請を依頼すると、申請書の作成や必要書類の収集を任せることができますし、また、法務局とのやり取りも全て任せることができますので、面倒な手続きを『丸投げ』することができます。

つまり、一度、司法書士に申請を依頼してしまえば、基本的に、依頼者の方は、何もしなくても良いことになります。

さらに、当事務所のように、夜間や土日にも相談可能な司法書士事務所に依頼すると、平日にわざわざ貴重な有給を使う必要もありません。相談者Xさんも、当事務所の夜間相談をご利用頂きました。

 

おわりに

今回のコラムでは、実際に当事務所でお受けした相談事例を元に、相続登記を自分で申請しようと試みたものの、途中で挫折してしまう理由について解説しましたが、いかがだったでしょうか。

自力で登記の申請を試みて、途中で挫折した方も多く当事務所に相談に来られますが、「こんなに楽なら最初から依頼すれば良かった」と言われる方も少なくありません。

相続登記の申請は、想像されるより大変です。手間と時間がかかります。無事に登記が完了すれば、かけた苦労も報われますが、途中で挫折し、結果的に専門家に依頼するのであれば、最初から依頼する方が時間的にも費用的にもお得になります。特に、平日の昼間に時間を確保するのが難しいという方は、司法書士に最初から依頼することをオススメします。

当事務所では、相続・遺言・相続登記などに関する相談を広く受けております。相談は、初回無料ですので、相続についてわからないことや、お悩みのある方は、お気軽にご相談ください。