第305回相続コラム 相続登記を依頼するなら司法書士へ そのメリットや費用も解説

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第305回相続コラム 相続登記を依頼するなら司法書士へ そのメリットや費用も解説

第305回相続コラム 相続登記を依頼するなら司法書士へ そのメリットや費用も解説

故人(被相続人)が所有していた不動産の名義を、相続人名義へと変更する手続きを相続登記と言います。相続登記の申請は、申請書に必要事項を記載の上、戸籍謄本や遺言書・遺産分割協議書等の必要書類を添付し、不動産の所在地を管轄する法務局に提出して行います。

相続登記の申請は、相続人自らが行うこともできますが、司法書士に依頼するケースも多くあります。今回のコラムでは、相続登記と司法書士の関係を簡単にまとめつつ、相続登記の申請を司法書士に依頼するメリット・デメリット、その費用等を解説したいと思います。

 

相続登記と司法書士

司法書士とは、司法書士法の規定に基づき、登記や供託の申請代理、法務局等に提出する書類の作成提出等を行う法律の専門家です。簡単に言うと、司法書士は、登記・法律の専門家として国に認められた国家資格者ということになります。

相続登記も登記の一種である以上、他人の依頼を受けて申請を行うためには、資格が必要となります。その資格のひとつが司法書士ということになります(司法書士以外では、弁護士も代理が可能)。

司法書士でない者(弁護士を除く)が、登記に関する手続きの代理や法務局に提出する書類を作成することは、法律で禁止されています。司法書士は、登記申請だけではなく相続登記に必要な戸籍謄本の収集や法務局に提出する遺産分割協議書の作成も可能です。

なお、相続登記の申請は、2024年4月1日より、義務とされていますので、申請を怠ると罰則が適用される場合があります。

 

■司法書士は、国家資格を有する登記の専門家です。
■相続登記の申請の依頼を受けることができるのは司法書士または弁護士に限られます。
■司法書士は、登記申請だけでなく、相続登記の申請に必要となる、戸籍謄本の収集や遺産分割協議書の作成なども行うことが可能です。
■相続登記の申請は義務となっています。

 

相続登記を司法書士に依頼するメリット

相続登記の申請は、相続人自ら行うことも可能ですが、登記の専門家である司法書士に依頼すると、次のようなメリットがあります。

時間と手間を省くことができる

不動産登記は、不動産という価値の高い重要な財産に関する権利関係を公示するものですので、
その変更手続きについては、法律上、厳格なルールが定められています。

そのため、申請書の記載方法も複雑であり、戸籍謄本などの収集すべき書類も相当な量となることがあります。また、相続に際して遺産分割協議を行った場合には、その内容をまとめた遺産分割協議書の提出が必要となる等、専門的な知識なしに手続きを進めることは、難しいケースもあります。

申請書に不備があったり、集めた書類が不十分であった場合には、申請が受理されないため、時間をかけて何度も不備を直し、自力で申請するくらいなら、最初から、専門の司法書士に依頼した方が、時間も手間も省けて経済的というケースも少なくありません。

 

相続人を漏れなく正確に特定できる

相続登記を申請する前提として、そもそも誰が相続人となるのか正確に特定する必要があります。そして、相続人が誰であるかを正確に特定するためには法律的な専門知識が必要となるケースがあります。また、戸籍を遡って読み解き、相続人を漏れなく探し出すための作業にも専門的な知識が要求されます。

「代襲相続という制度を知らなかったので、本来、孫が相続人となるはずが、その孫を見落としていた」、「戸籍を集めたけど、全てを遡って確認できていなかったので、前妻との子や、養子縁組した子が相続人から抜けていた」というようなケースも少なくありません。

その点、登記と法律の専門家である司法書士に申請を依頼した場合には、相続人の漏れを防ぎ、正確に相続人を特定することができます。もちろん面倒な戸籍の収集も任せることができます。

 

他の相続手続きも依頼できる

相続手続きにおいて、司法書士が行える業務は相続登記だけではありません。各種手続きに必要となる戸籍謄本の収集、相続関係説明図や遺産分割協議書の作成だけでなく、預貯金の解約払戻手続きや、有価証券の名義変更などを行う司法書士もいます。

相続税の申告は、司法書士が行うことはできませんが、当事務所のように提携している税理士がいる場合には、その税理士を紹介してもらうことで、相続に関する手続きをまとめて依頼することができる場合もあります。

 

自力で登記申請するのが困難なケースにも対応

「音信不通の相続人がいる」、「未成年の相続人がいる」、「認知症の相続人がいる」等、手続きが複雑になり、自力で登記申請することが困難なケースもありますので、そのようなケースでは、専門の司法書士に依頼することで、必要な手続きを進めることができる可能性があります。

自力で登記申請することが困難なケースについて詳しい解説は、「第277回相続コラム 相続登記を自分で申請できるのか?自分で申請することが難しいケースも解説」をご覧下さい。

 

相続登記を司法書士に依頼するデメリット

相続登記の申請を司法書士に依頼することのデメリットとして、司法書士に対する報酬が必要となることが挙げられます。

相続登記を申請する際の費用として、大きく分けて、①登録免許税、②戸籍謄本等の必要書類の発行手数料、③司法書士の報酬が必要となります。

①と②は、いわば実費のようなものですので、自力で登記を申請する際にも必要となりますが、③の費用は、司法書士に登記申請を依頼する場合にのみ必要となります。

なお、登録免許税について詳しい解説は、「第272回相続コラム 相続登記申請時に必要となる登録免許税の計算方法について詳しく解説」をご覧下さい。

 

相続登記を司法書士に依頼する費用

相続登記の申請を司法書士に依頼する場合には、司法書士に支払う報酬が必要となります。

司法書士に支払う報酬については、依頼する事務所によって料金体系は異なりますが、一般的な案件で、6万円~20万円程度の報酬が必要となります。

司法書士に支払う報酬は、相続人の数や申請する不動産の数、作成する書面の数等によって変わってくることが多いため、司法書士に依頼する際には、報酬内容の見積をとり、不明な点はしっかりと確認することが大切です。

 

おわりに

今回のコラムでは、相続登記と司法書士の関係を簡単にまとめつつ、相続登記の申請を司法書士に依頼するメリット・デメリット、その費用等を解説しましたが、いかがだったでしょうか。

相続登記の申請は、簡単な手続きではありません。苦労して自力で申請したものの、不備等により不受理となり、結局、専門家に依頼することになるというケースも珍しくありません。また、素人判断で手続きを進めてしまった結果、後の争いの種を残してしまうおそれもありますし、プロならショートカットできる手続きを全て申請してしまうことにより、かえって費用がかさんでしまうことあります。

手続きを誤ると、費用が余計に必要となってしまう事例としては、「第303回相続コラム 相談事例から解説する土地を分割(分筆)して相続する方法」が参考になるかと思います。

時間と手間を省き、安全・確実に相続登記を行うためには、登記の専門家である司法書士に依頼することをオススメします。

当事務所では、相続に関するご相談を広く受けております。相続の手続きで、わからないこと、お困り事がありましたら、当事務所までご相談ください。初回相談は無料となっておりますので、お気軽にご相談ください。