第154回相続コラム 相続登記時における免税措置の拡充(令和4年度)
「所有者不明土地問題」への対策の一環として相続登記が義務化され、その登記の際に必要となる登録免許税についても、相続登記を促進するために一定の要件のもとに免除されています。この相続登記時の登録免許税を免除する特例措置については、もともと令和4年3月末で終了する予定だったのですが、昨年末に閣議決定された来年度の税制改正大綱では、その適用期限が延長されるとともに、適用範囲も拡大されることになりました。今回のコラムでは、その登録免許税を免除する特例措置がどのように拡充されるのかについて解説したいと思います。
相続登記と免税措置
「所有者不明土地」は、日本全体の土地面積の2割を占めるというデータもあり、大きな社会問題となっています。所有者が不明な土地は、そのままでは活用することができず、空き家・空き地が放置され続けたり、公共事業や土地開発の妨げになってしまいます。
所有者が不明な土地が発生する主な要因として、土地を相続した際に、適切に名義変更(相続登記)が行われてこなかったという現状があり、そのような現状を踏まえて、国は様々な対策に力を注ぐようになりました。
令和3年の法改正による相続登記の義務化や、平成30年度の税制改正及びその後の改正により延長された登録免許税の免税措置などがこれにあたります。
相続登記の義務化について詳しくは「第124回相続コラム 相続登記義務化に関する法改正(令和3年4月21日)」、相続登記時の登録免許税の免税措置について詳しくは「第129回相続コラム いまなら使える相続登記の登録免許税の免税措置」をご覧ください。
適用期限の延長
相続登記時の免税措置の適用期限は、令和4年3月末まででしたが、適用期限を3年延長し、令和7年3月末まで免税措置が適用されるようになります。
来年度から拡充される免税措置
現行の相続登記時における登録免許税についての免税措置は、下記の2つの場合に適用されます。
1)相続により土地を取得したものが相続登記をしないで死亡した場合
2)市街化区域外の土地で市町村の行政目的のため相続登記の促進を特に図る必要があるものとして法務大臣が指定する土地のうち、不動産の価額が10万円以下の場合
上記の免税措置のうち、1)のケースについての変更はなく、2)のケースの適用範囲が拡大されます。
適用範囲の拡大
市街化区域内の土地も適用対象となる
現行法上、対象となる土地は市街化区域外の土地だけでしたが、市街化区域内の土地であっても、相続登記がされずに放置されている実態があったため、市街化区域内の土地も適用対象とされます。
適用対象となる土地の上限価格の引き上げ
相続登記促進の実効性確保のために、適用対象となる土地の上限価格が10万円以下から100万円以下に引き上げられます。
適用範囲まとめ
現行法上の適用範囲
1.市街化区域外の土地
2.上記の土地のうち、法務大臣が指定する土地
3.不動産の評価額が10万円以下
来年度からの適用範囲
1.市街化区域内の土地も対象となる
2.上記の土地のうち、法務大臣が指定する土地
3.不動産の評価額が100万円以下に引き上げ
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