第106回相続コラム 相続手続きのプロが語る遺産分割協議書と契印

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第106回相続コラム 相続手続きのプロが語る遺産分割協議書と契印

第106回相続コラム 相続手続きのプロが語る遺産分割協議書と契印

相続した財産について、通常は、その財産を誰にどのように分配するのかを遺産分割協議書を作成し、その書類に基づいて様々な手続きを行うことになります。相続の手続きにおいては、この遺産分割協議書がとても大事になります。今回は、相談例をもとに遺産分割協議書と契印について解説したいと思います。

 

遺産分割協議書について相談例

父の相続について遺産分割協議書を作成し、母と子供達がそれぞれ署名し実印で押印しました。しかし、司法書士に相続登記を依頼する際、この遺産分割協議書を見せたところ「契印が足りないのでこれでは手続できない」と言われてしまいました。契印とはなんでしょうか?

ちなみに、相続登記とは、簡単にいうと、相続した不動産の名義変更手続きのことです。

 

遺産分割協議書が複数枚に及ぶとき契印が必要

遺産分割協議書が複数枚に及ぶときは必ず契印をする必要があります。

「契印」とは2枚以上の契約書や遺産分割協議書等の重要な文書が、1つの連続した文書であることを証明するために、両頁にまたがって押印される印鑑のことです。契印が押印されていると文書が正しく連続している(抜き取りや差し替えがされていない)ことの証明となります。

遺産分割協議書の成立要件や形式は法律等で定めがあるわけではありません。しかし、契印が押印されていない遺産分割協議書を提出すると法務局や金融機関から訂正を求められることがほとんどです。そうすると、契印を実印で押印しなおすためだけに相続人全員が再度集まったり書類をやり取りしたりしなければならなくなってしまいます。

 

遺産分割協議書が複数枚に及ぶ場合のその他の手段

綴じた遺産分割協議書の全ての頁の綴り目に相続人全員が契印を押印する必要があるのが大原則です。しかし、例えばA4用紙1枚におさまらない時はA3用紙を利用する、又は両面印刷にする、というような工夫も考えられます。また、枚数が多いときは文具店で購入できる製本テープでまとめて、製本テープとの境目にそれぞれ1ヶ所ずつ契印をするという方法もあります。

 

まだ「契印」は必要

行政手続の認印は全て廃止される見通しともいわれる時代に「契印の有無」とは何ともアナログなお話ですが、現在の日本でも相続手続をスムーズに進めるためには非常に重要な注意点です。他の相続人から実印を正しく押印していただかなければ、結果的に不動産を相続したり、預金を相続したりすることができなくなってしまうのです。

 

相続手続きを円滑に行うために

司法書士事務所では不動産を含む遺産分割協議書の作成を頻繁に行っています。ご自身で遺産分割協議書を作成する場合であっても、相続人全員が実印で押印をする前に一度司法書士に見せて、押印の場所も含めてチェックを受けることを強くお勧めします。

もちろん当事務所でも遺産分割協議書の作成、チェックを含む相続のご相談を広くお受けしています。お気軽にご相談ください。